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佐々木典子さん

更新日:2009年3月3日

音楽への道

〜ピアニストの夢から〜

心に美しく響くソプラノの歌声で、ウィーン国立歌劇場でソリストとして活躍し、世界を舞台に数々のコンサートに出演されている佐々木さん。平成16年の1月には、平成の歌舞伎界を支える十二代目市川團十郎さんがオペラ初演出する「鳴神」に出演された。「鳴神」は、市川家の「家の芸」である歌舞伎十八番のひとつで、市川宗家自らの演出によってオペラがもつ時間と空間の奥行きがいかに変幻を見せるかが一番の見所だったそうです。
このようなすばらしい舞台に出演される佐々木さんは、大分で幼稚園〜小学校2年生まで過ごし、その後玉名に引っ越してきた。
 
佐々木さんは、3歳からピアノを始め、将来はピアニストになりたかった。しかし、玉名に来て、好奇心旺盛だった佐々木さんは、歴史に関心があり、大坊古墳など史跡を探索して遊んでいた。ピアニストになるためには、一日10時間くらい練習をしなければいけなかったため、遊ぶことが楽しかった佐々木さんにとってピアニストへの夢は薄れていき、練習時間も次第に減っていった。
熊本大学附属中学校へ進学後、「楽器はみんな小さい頃から始めるが、歌は声変わりの後に始められるから、それがいいんじゃないか」と中学の音楽の先生からアドバイスを受け、音楽が好きだった佐々木さんは、中学生になって歌を始めた。

中学に入った頃は、音楽部・合唱部はあったが3人しか部員がいなかった。昔は合唱で有名だったが入学した時には廃れていた。合唱部を盛り返そうと部員3人で試行錯誤、音楽の先生からアドバイスを仰ぎ始めた。
その当時音楽の先生であった岩津先生は、今でもアドバイスや応援をしてくれる。その先生に会わなかったら、と考えることもある。
文化祭で歌ったりアンサンブルも行った。コンクールには、3人では出場できなかったので、臨時に人を集めて、にわか合唱団で出たこともある。歌がうまかった人が多かったので、なんとか形になって活動はさらに活発に。その後、附属中の合唱部は盛り上がりを見せ、今も活躍を続けている。
高校は、第一高校へ進み、岩津先生の弟である岩津整明先生にも音楽を教わり、兄弟2人に教わることになる。第一高校は合唱で有名で、いろいろな大会に出て、毎年行われる朝日新聞主催のコンクールで、毎年金銀を取る程の実力であった。
合唱だけでなく、本格的に歌を勉強していた佐々木さんは、合唱とは別に高校3年生の時に熊本日日新聞社のコンクールや大分竹田の西部日本高校独唱コンクール滝廉太郎記念音楽祭に出て賞をもらった。熊本日日新聞社のコンクールでは3位、滝廉太郎音楽祭でも3位に入賞した。この後、大学へ入り本格的に声楽の勉強を始める。
(平成17年1月1日号広報たまな)

世界の舞台へ

〜ウィーン国立歌劇場での活躍〜

高校を卒業後、武蔵野音楽大学へ入学し、声楽を専攻する。声楽の道へ進もうと決心したのは中学校の時だった。子どもの頃から習っていたピアノは、大学入学試験や授業で必要だったので、継続して練習をしていた。
大学3年生の時に、外国人の先生について勉強することになった。それがきっかけとなり、外国への関心が高くなった。また、留学してみたいという気持ちも強くなったいった。先生の「海外で勉強したほうがよい」ということばにも後押しされた。
その先生はオーストリア人だったが、在学中にアメリカに行かれた。「アメリカで自分のところへ来てから、ヨーロッパへ行きなさい」とアドバイスを頂いたが、英語を勉強せずに、ドイツ語とイタリア語を勉強していたので、アメリカへの留学は無理だと思いアメリカへは留学しなかった。そこから先生との連絡はなくなったが、きっかけはそこにあった。

オーストリアのザルツブルグモーツァルトテウムへ留学を決意する。その大学では入学時点の能力で学年が決まる。1年から始まったり、途中からだったりする。今は入学の条件が厳しくなったが、その時は卒業年度で入れてもらった。入ってすぐ卒業試験を受けてもよかったのだが、行ってすぐ何も勉強しないで卒業というのは嫌だったので、2〜3年間は勉強することにし、その間ですべての科目を取ることにした。声楽という発声のトレーニングをしたり、オペラ科で歌曲の授業をすべて受けた。オペラ科を2年で終了し、歌曲を3年目に専攻した。このときに色々とオーディションを受けながら勉強をし、ウィーンの国立歌劇場のオーディションに受かった。本当は3年で帰ろうと思ったが、ザルツブルグで「ヨーロッパでは仕事をするために大学へ行くのだから、卒業証書を取る事が目的ではなく、仕事を始める姿勢で勉強しないといけない」と仲間同士で話していたので、それはまたとない機会であった。

同大学オペラ科を首席で卒業し、世界に名だたるウィーン国立歌劇場のソリスト(独唱者)が誕生したのである。
このウィーン国立歌劇場は、オペラの世界最高峰として評される劇場である。その歴史と伝統は古く、創立は1869年。2002年には、指揮者の小沢征爾氏を音楽監督として迎え入れたことでも話題となりました。この、世界最高峰の歌劇場で、佐々木さんは10年間もソリストとして活躍をし続けました。当時のことを佐々木さんは、こう語られました。
「舞台で歌を歌うのは、今は緊張してあがったりしません。お客さんの顔を見てどういう表情をしているのかなと見て歌うのは、とても楽しいです。お客さんに喜んでもらうことが私の喜びですね。劇場に出た最初の頃は、ゆとりが無く、世界的に有名な歌い手と一緒にでるから、間違えないように、そして些細なことでみんなを惑わせないように、と思うばかりでお客さんのことを考えている余裕はありませんでした。」と、当時を振り返られる。

(平成17年2月1日号広報たまな)

そして未来へ

〜音楽への情熱〜

ウィーンでは、オペラ座中心に公演し、空いている時間にはコンサートを行ったり、充実した日々を送っていた。
1989年、ドイツのベルリンの壁が崩れ、東西ドイツが一つになった。統一したドイツでは、自国の人を優先して雇用していたので、外国人の仕事は減っていった。日本人として仕事をしていて問題に巻き込まれたことはなかったが、時代が変わった区切りなのかなと思い、ウィーンでの永住権は持っていたが帰国を考えた。畳の上で死にたいと思ったし、「日本に戻ってきて足場を固めてはどうか」とアドバイスを受け、また、日本の学校で働けると言われたので帰国を決意した。

1994年に帰国。武蔵野音楽大学音楽部の非常勤講師に就任。その後、2001年に東京芸術大学音楽部の助教授にも就任し、2つの大学で教鞭をとる事になる。声楽家として、そして先生として音楽に関わる上で、体調管理には非常に気を遣っている。風邪がはやっている時期に電車に乗る時は必ずマスクしたり、予防を怠らない。調子が悪いと思った時には歌わない。「学生は風邪を引いていても無理をしがちです。歌を我慢させることも勉強の一つです。それがプロとしてやっていくために必要なことだと教えなくてはいけない。」と佐々木さん。
音楽活動をやっていく中で、一生に一度出れるか出れないと言うオペラに2003年に出演できた。所属する「二期会」という団体の50周年記念で、リヒャルトシュトラウスが作曲した、昔のオーストリアの宮廷を題材にした「ばらの騎士」。オペラをやる人はみんな憧れる役「元帥婦人」を演じた。私の中でこのオペラをやり遂げたと言うことが、今まで音楽をやってきた中で一番の宝物だ。
海外の情報はテレビなどを見ていたらわかるが、行ってみないとわからないことがたくさんある。自分のときも行くのは簡単だったが、今はもっと簡単に行ける。何に対しても好奇心旺盛になって、自分でこうかしらああかしらと探して行くのがいいと思う。
帰国してからの10年間。仕事をたくさんこなすよう努めてきたが、これからはワンステージワンステージ本当に意識してしっかりやっていきたい。
「外国だから日本だからと言うのではなく、地球規模的に世界を捉えた方がいい。そのうち宇宙人が見つかった時には、どこの出身と聞かれたら地球と言わなければいけない時代が来ると思う。日本だ外国だと言っている場合ではないと言う感覚の子が育っていけばいいと思う。そして、夢を持ちなさい。できようができまいが大きな夢を持ちなさい。たくさん友達を作ってたくさん遊びなさい。自然がたくさんある玉名だから外で遊びなさい。」と今後、意識改革・若手の育成に努めたいと、そう遠くない未来を見つめ、佐々木さんは語られた。

(平成17年3月1日号広報たまな)


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