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大野下の大ソテツ

更新日:2018年4月10日

所在地:熊本県玉名市岱明町大野下646番地   指定年:昭和9年(1934年)

玉名市岱明町大野下にある蘇鉄家の庭先には、国内でも屈指の規模を誇る蘇鉄があります。雌の一株で、根から十数本の大幹が伸びており、見事な樹容を誇っています。樹齢数百年と伝えられ、蘇鉄にまつわる伝説などが多くあり、古くから大切にされてきました。市内外から多くの見学者が訪れ、地域を代表する蘇鉄として、多くの人々に親しまれています。

ソテツにまつわる不思議な物語

玉名市岱明町大野下に樹齢数百年という大蘇鉄がある。根まわり11m、高さ4.5m、枝の広がり8m四方に及ぶこの大蘇鉄には、その精である美人をめぐって美しくも悲しい物語が秘められている。

 この蘇鉄を庭にもつ池松家には、その昔美しい一人の娘があった。その娘の美しさは、まるでこの世の者とは思われぬほどで、その噂が次第に広まっていくと、若者たちが遠近を問わずに寄り集り、嫁にもらい受けたいと言い寄る者があとを絶たない。ところが娘はただやさしい笑みを浮かべるだけで、誰に対しても返事らしい返事をせず、いつもそれが仕事の絹を織りつづけていた。娘の織る織物が、またなんともいえぬ見事な出来ばえなので、織物は飛ぶように売れ、そのため池松家はいつか近郷きっての分限者(お金持ち)になっていった。いくら通い続けても、色よい返事をしない娘に、若者たちもあきらめて一人去り、二人去り、ほとんどの者が去って行ったが、中にただ一人だけ相も変わらず熱心に通い続けている若者がいた。雨の日も風の日も、若者は一日として欠かしたことがなく毎日娘のもとに通い、夢中になってかき口説いた。それでも、娘は固く口をとざし、ただ淋しげな笑みを浮かべるだけであった。その日も若者は、燃えるような胸の中の想いを打ち明け、熱心にかき口説いたが、娘は相変わらず微笑むだけ。若者の秀でた眉は悲しみの色に曇り、目には異様な光が宿りはじめた。(これほど思い焦がれているのに、ただ一言の返事もしないとは‥‥‥ 己の美貌を鼻にかけた憎い娘‥‥‥‥)可愛さあまって憎さ百倍の例えどおり、若者は思わずカッとなると、娘の織っていた針を取り上げ、それを娘の肩へ深く突き刺した。娘は激しい叫び声をあげたが、不思議なことにその姿は忽然として消え失せてしまった。池松家の人々は大いに驚き、八方に手を尽くして探したが、娘の姿は地に潜ったのか地に消えたのか、どこにも見当たらなかった。そしてさらに不思議なことに、一筋の糸が織機のかたわらから廊下を通り庭の方へ続いているのを見つけた。人々がそのあとをつけていくと、糸は庭の蘇鉄の肩に深く突き刺さった針に結ばれていた。「さてはあの娘は、この蘇鉄のせいであったのか‥‥」人々はそのときになってはじめて、娘の美しさがこの世のものとも思えなかったわけを知った。娘がいなくなったあとも、池松家では蘇鉄の精が織りかけていた絹の織物をそのままにしておいた。するとそのうち、誰というとなく不思議な噂が近所にたちはじめた。昼間、池松家の人々が仕事に出かけて誰もいない留守に、門前を通ると家の中から機を織る音が聞こえるというのである。「わしも確かに音を聞いた。」「わたしも耳にしたが、あれはまちがいなく機を織る音だ。」噂が次第に広まっていったある夜、池松家の人々が夜中にふと目をさますと、誰もいないはずの織機のある部屋で、糸車のまわっている音を耳にした。「はて、今ごろ誰だろう‥‥」不審に思ってそっと部屋をのぞいてみたが、中は真っ暗で人の気配もない。とたんに音はハタとやんだ。あわてて灯をともしてみると、たった今まで誰かが動かしていたらしく、糸車がかすかにまわっていた。不思議はそれだけではなかった。蘇鉄の精が織りかけていた絹が、いつの間に見事に出来あがっていたのである。「やはりあの噂が本当だったのだ。誰もいない昼間や、みんなが寝静まった夜、蘇鉄の精は娘の姿にもどって、これを織り続けてくれたのだ。」池松家の人々は、蘇鉄の精の報恩に強く心を打たれた。そしてその後も、一夜のうちに織りあがった織物をしばしば見いだしたという。池松家は明治維新のさい、それまでの池松姓を捨てて蘇鉄姓を名乗ることにした。それは蘇鉄の心根を哀れに思った当主の計らいで、以来蘇鉄の精は安住の地を得、木の体内に入って深い眠りについたという。ところで、この蘇鉄がいつのころ植えられたものかはわかっていない。ただ現在の当主は十六代目だといわれている。

昭和50年10月1日発行「広報たいめい」より抜粋

大野下の大ソテツの写真



 


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