梅林天満宮流鏑馬
梅林天満宮流鏑馬(ばいりんてんまんぐうやぶさめ)
【種別】熊本県指定重要無形民俗文化財
【指定年月日】平成16年4月19日
【所在地】(伝承地)玉名市梅林地区
【所有者】梅林天満宮流鏑馬保存会
【内容・特徴】
梅林天満宮流鏑馬は、例年11月25日に行われる梅林天満宮例大祭に際し、神社南側の馬場において奉納される行事であり、地元では「ヤクサンドン」と呼ばれ親しまれています。
11月23日の夕刻には乗り手・節頭区(世話役)の節頭屋・区長・矢持・弓持・仲間(ちゅうげん)と呼ばれる人々が精進小屋に入り、精進上げまでそこで過ごします。乗り手は地面との接触も断たなければなりません。節頭区は下・安楽寺・津留の各地区が交代で務めます。
11月24日午前、所定の道順で小島河原に行き、菊池川の水をかけて身を清めます。午後には馬場を数回試走する馬場とおしが行われます。
11月25日午前、梅林天満宮例大祭が行われ、境内では舞などが奉納されます。流鏑馬を奉納する一行は精進小屋を出て木葉川での汐取りなど神事を行い、夕刻にいよいよ馬上から矢を射る流鏑馬の奉納が始まります。
乗り手は顔全体に濃くおしろいを塗り、笠に胸当て、狩衣に襷がけといった装束に身を固めます。弓に矢をつがえ、天地東西へと射放つ動作をした後、鳥居前を一巡して所定の位置に行きます。その後馬を全速力で疾駆させ、馬場に用意された3か所の的を次々に射ること3回、つごう9的を射て流鏑馬を奉納します。この時射た的の一部は、縁起物として観客が持ち帰ることが許されており、かつては競って奪い合われていたといいます。流鏑馬の奉納が終わると精進小屋へ戻り、神事の後、精進上げとなります。
11月26日午前、次の節頭を決める「おみくじ伺い」が行われ、次の節頭区へと御神体が引き継がれます。
梅林天満宮は、太宰府天満宮ができて26年後の承平6(936)年に勧請されたと伝えられており、現存している本殿・拝殿・楼門・鳥居は、いずれも江戸後期のものとされ、国登録有形文化財として登録されています。
流鏑馬の起源は定かではありませんが、寛永18(1641)年の社領目録に「流鏑馬田」の記載があることから、寛永18年には既に行われていたことがうかがえます。
熊本県下で流鏑馬の奉納を行っている神社は複数ありますが、農村の中で精進小屋入りから節頭くじまでの一連の神事を現在まで継承しているのは梅林天満宮だけであり、たいへん貴重なものといえます。
【地図】※流鏑馬の奉納は11月25日です。