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漱石と、玉名

更新日:2017年3月26日

夏目漱石と、玉名

小天の風景の写真、記載文字は本文に記述されています


 

山路を登り、峠を越えてたどり着いた風景

英国留学中、友人への手紙に「小天行きなど思い出す」と記すほど、漱石は小天温泉への旅を気に入っていた。

留学前の4年3カ月を熊本で過ごした漱石の、玉名との縁。

今年と来年は漱石記念年

今年2016年は漱石没後百年、来熊120年の記念年。

そして来年2017年は、漱石生誕150年であり、小説「草枕」を生んだ玉名(小天温泉)への旅から120年の、記念年となる。

小天温泉を訪れた明治30年の漱石は、まだ30歳の青年。この年、父を亡くし、妻が流産しています。山路を歩きながら様々な思いが去来する旅だったことでしょう。

草枕の道の写真


きっかけは夫婦げんか?草枕を生んだ小天への旅

今から120年前の明治29年4月、熊本の第五高等学校(五高)の講師となった漱石は6月に結婚しました。新天地熊本、また新婚での初めての正月となった明治30年正月に、漱石夫妻は大げんかをしたといいます。きっかけは、新妻が苦心して作ったおせち料理。下宿していた漱石の同僚や五高の学生が食べ尽くしてしまい、年始客が来た時には、振る舞うための料理がなくなってしまっていたのです。

天水からの眺望の写真


前田家別邸の写真




これに懲りた漱石は、次の正月は年始客から、あるいは妻からの逃避を企てたのか、明治30年の年末から年明けにかけて同僚の山川信次郎と小天温泉への旅に出ました。山路を登り茶屋で一休みしながらたどり着いた漱石は、この地の名士、前田案山子の別邸(現在の前田家別邸)に宿泊しました。この旅での体験が、旅で出会った前田案山子、その娘の卓が登場人物のモデルとなる小説「草枕」を生み出すことになります。天水の風景の写真


縁側に座る漱石とタマにゃんの写真


石貫村の徳永右馬七は漱石の同僚英語教師だった

熊本で教師生活を送っていた4年3カ月の間に交流した人物には、玉名の人も含まれています。石貫の徳永家には、明治32年5月27日付けの夏目漱石から徳永右馬七へ宛てた手紙が伝わっています。

徳永右馬七は、明治28年4月から第五高等学校(五高)で英語を教えていました。明治29年2月からは、熊本県尋常中学校済々黌の教師となります。

明治29年4月、五高に赴任した漱石は、五高に勤務しながら済々黌の講師もしていたため、ここで同僚となります。

その後、右馬七は明治32年5月から佐賀県の第3中学校に勤めることになりました。この手紙は、佐賀に移ってまもない右馬七が、熊本の漱石に「JET」という英単語の意味について尋ねた手紙に対する漱石の返事です。かつての同僚にも親切に返事を書いた漱石の真面目さがうかがえます。

徳永家は代々石貫村の庄屋を務めた家柄でした。

小天温泉の風景の写真


横島で少年期を過ごした人物が漱石を小説家の道へ

明治36年、英国留学から帰国した漱石は、東京帝国大学の講師になり、明治38年、38歳の時に「吾輩は猫である」を発表。その後「倫敦塔」「坊ちゃん」と次々に作品を発表し、作家としての地位を確かなものにしていきます。

明治40年、漱石が40歳の時に、東京帝国大学を辞め新聞社の小説家となる決意をさせたのが、当時の朝日新聞主筆だったジャーナリスト池辺三山(本名吉太郎)という人物。池辺三山は、明治初頭の横島で私塾を開いていた元細川藩士池辺吉十郎(サイト内リンク)の長男で、生まれは熊本城下ですが少年期を横島で過ごしました。「三山」という筆名は、横島から見える三つの山峰にちなんで後年付けたものといいます。それだけ、少年期を過ごした横島での風景が印象深かったのでしょう。

今年7月、漱石直筆の短冊が市に寄贈された

2016年7月15日、「ロンドン漱石記念館」の館長で、崇城大学教授の恒松郁生さんから漱石直筆の短冊や、小説「草枕」の外国語訳本などが市に寄贈されました。恒松さんは熊本地震で被災し、友人のすすめもあって熊本市から転入し7月から玉名市民となりました。

寄贈された漱石関連の本の写真


漱石直筆の短冊の写真


この短冊は、蘭、竹、梅、菊を描いた「四君子」短冊の一つで、竹が描かれています。箱書きによれば、漱石と親交のあった明治から大正にかけて中央公論の編集長だった滝田樗陰のために漱石が書いた物で、残りの3枚は中央公論社主麻田駒之助家に伝わり、もう1枚は湯川秀樹博士に贈られたとされています。

将来的には、歴史博物館こころピア(サイト内リンク)などで展示し、市民をはじめ多くの人に公開する予定です。

恒松さんと高嵜市長の写真


また、恒松さんは観光案内施設「草枕交流館(外部リンク)」の館長に8月から就任しています。漱石記念年の今年・来年に漱石や草枕の情報が詰まった「草枕交流館」にぜひお立ち寄りください。

漱石が滞在した「前田家別邸」 

母屋は残っていませんが、作中に出てくる半地下式の浴室、6畳の離れが保存されています。

六畳の離れの写真


浴槽の写真


「回廊の様な所をしきりに引き廻されて、仕舞に六畳程の小さな座敷に入れられた」(「草枕」第3章)

本を読む漱石とタマにゃんの写真





引用元:「漱石と、玉名」『広報たまな』平成28年9月号抜粋(PDF 約906KB)

広報たまな平成28年9月号の表紙画像、詳細はPDFファイルをご参照ください


 


広報たまな平成28年9月号の画像、詳細はPDFファイルをご参照ください


 


広報たまな平成28年9月号の画像、詳細はPDFファイルをご参照ください


 


※本ページは上記記事を元に加筆・修正して作成しました。人物の年齢・肩書きは平成28年9月1日現在のものです。 


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