「野尻家住宅主屋」と「野尻家住宅門及び塀」の国登録有形文化財(建造物)に対する答申について
令和6年7月19日(金曜日)、国の文化審議会は「野尻家住宅主屋」と「野尻家住宅門及び塀」が国の登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申を行いました。この答申を受け、官報告示を経て令和6年11月ごろ、正式に登録される予定です。
野尻家住宅の主屋、門及び塀は、伝統的な形式を踏襲しつつも在御家人住宅の特徴を今に伝える建造物であるとともに、丁寧に施工された上質な意匠が良好な状態で残され、また地域の歴史的景観にも寄与しており、後世に引き継ぐ文化財として貴重な建造物です。
【注意】野尻家住宅は、個人宅であるため一般公開しておりません。
野尻家住宅主屋(のじりけじゅうたくおもや)について
所在地:玉名市天水町小天
建築年代等:江戸末期/明治後期・昭和前期に増築、昭和30年代に改修
登録基準:造形の規範となっているもの
構造及び形式:木造2階建て入母屋造り、桟瓦葺き
特徴:玉名市天水町に所在する在御家人(ざいごけにん)住宅の主屋です。東を土間、西を中庭を囲うコの字形に居室を配し、南正面を座敷、北奥を離れとしています。その外観と間取りは、伝統的な農家住宅の形式を踏襲(とうしゅう)しつつも、土間から上手にゲンカンノマ(オモテまたはヒロマ)、シキダイを正面に備えたブツマ、そしてトコ、トコワキ、付書院の座敷飾りをもつザシキを配する間取りなど在御家人の住宅の特徴を今に伝える建造物です。その規模は大きく、眺望に優れた座敷をもつ上質な主屋であり、また座敷にマツの良材を用い、書院欄間(しょいんらんま)に意匠性(いしょうせい)に富む龍の彫刻を施すなど、丁寧に施工された上質な意匠が良好な状態で随所に残されています。
主屋全景(撮影:山川満清)
野尻家住宅門及び塀(のじりけじゅうたくもんおよびへい)について
所在地:玉名市天水町小天
建築年代等:安政4年(1857)
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
構造及び形式:木造、桟瓦葺き(さんがわらぶき)、袖塀(そでべい)付き
特徴:石垣に沿う斜路上端に構えた門と塀です。門は、切妻造り(きりづまづくり)、桟瓦葺きの四脚門(しきゃくもん)で角柱を用い、中央に大きな板扉を開き、土間には、方形に切った石を敷きます。両脇に落棟(おちむね)の袖壁(そでかべ)を設け、北側に木戸を開きます。石垣上に廻らせた真壁造り(しんかべづくり)・桟瓦葺きの塀と一体となって、在御家人住宅の風格ある屋敷構えを伝えています。
門及び塀(撮影:山川満清)
塀(撮影:山川満清)
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