令和7年8月26日開催  定例記者会見

市長あいさつ

皆さん、こんにちは。定例記者会見の開催に当たりまして、ごあいさつを申し上げます。

今般の8月上旬からの九州地方をはじめとする記録的大雨。10日夜から11日未明にかけては本県を襲い、相次ぐ線状降水帯の発生に「大雨特別警報」が発表されるなど、本市にも甚大な被害の爪痕を残したこの豪雨から2週間が経ちました。まずもって、この場をお借りいたしまして、市民をはじめとする被災された多くの皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。そして現在、この豪雨の影響が長引く中で、被災されながらも生活や事業の再建に向け復旧に当たっておられる皆様方、活動を妨げる連日の猛暑下での作業は「暑さとの闘い」でもあり、さらに水害後の粉塵や感染症への防疫対策等、苛烈な現場における身体的負担・精神的疲労は想像するに易くありません。懸命に前を向き、復旧作業に尽力されておられる被災者の皆様をはじめ、事業者や関係機関の皆様、そして、市内外から駆け付けご協力いただいている多くのボランティアの皆様方に対しまして、深く敬意を表する次第でございます。

さて、今回の記録的大雨と災害について、本日の発表事項とは別に、この挨拶の中で私の所見と、本市における概要を述べさせていただきたく存じます。

今回の記録的大雨は、これまでにない異常な降り方、また、見たことのない雨雲レーダーの動きなど、従来の大雨とは全く印象の異なるものでありました。経験則では測れない緊迫した危機、地震と異なり次第に身に迫りくる命の危険を肌で感じるなど、未曾有の事態の発生を予兆させるような焦燥感を強く感じたところです。数字で見ますと、この時の本市の24時間降水量は観測史上最大の453.5ミリと、8月の平均降水量の2.5倍を記録。この大量の雨が、本市にかつてないほどの甚大な浸水被害をもたらす結果となり、改めて線状降水帯の恐ろしさ、自然の脅威・猛威への畏怖を抱いたとともに、災害が我々の想定や人智を遥かに超えてやってくることを痛感した次第であります。

改めて、10日から11日の本市の状況・動向を時系列で追いますが、10日の日中、事前の線状降水帯発生予測に対し、午後6時に自主避難所5カ所を開設。夜になり静かに降り出した雨ですが、短時間で急激に勢いを増し、その様相を変えます。午後9時25分、大雨警報発令に伴い避難情報レベル3「高齢者等避難」を市内全域に発令。午後9時40分には繁根木川・境川にて氾濫危険水位を超過。午後10時に記録的短時間大雨情報が発表され、午後10時5分に避難情報レベル4「避難指示」を発令。異常な雨の降り方に午後10時・11時台は市内各所で被害が発生しているとの多数の報告が継続的に入ります。市民の生命が重大な脅威に直面しているといった、これまでにない危機的状況に鑑み、日が変わる11日の午前0時、本市は大雨特別警報の発令を待たずして避難情報レベル5「緊急安全確保」の発令に至った次第です。その直後、午前0時20分に大雨特別警報が発表された訳ですが、雨の降り始めからわずか3時間ほどの間に気象状況が劇的に変わり、短時間で災害発生につながったことが伺い知れるかと存じます。この10日夜から11日未明にかけた3時間降水量は観測史上最高となる284ミリ。今回の豪雨の実に60%以上がこの時間帯に集中的に降ったということになります。こうした状況に、市内全域で甚大な災害の発生が予想されたため、午前1時30分、全職員に対し午前5時参集のメールを発出。506人中329人の職員が参集に回答し、当庁した職員により班を編成し、夜明けとともに市内の被害状況確認のための巡回や被災現場の応急対応に当たるなど、本市は避難から復旧・災害支援のフェーズに速やかに移行した次第です。

また時間が経つにつれ、被害の実態が次々と明らかになってきております。冠水・浸水被害、土砂崩れ等々、その被害の大きさを痛感しておりますが、26日午前9時現在での本市の被害状況の数値を申し上げますと、全壊1件、床上浸水192件、床下浸水238件、避難者数9名となっております。しかしながら、まだ確認できていない部分もあり、現在、全庁を挙げて被害の全容把握に継続して努めているところであります。特に今回は市内各所で同時多発的に内水氾濫・外水氾濫が起きたと思われ、中でも境川沿線、松木　アンダーパス周辺、天水町受免地区では極めて甚大な浸水被害に見舞われました。また、市内の至る所で冠水による車両の水没被害が多発し、市民生活に多大な影響が出ておりますが、その台数は現時点で176台という数字になっております。商工業においては、浸水被害により休業を余儀なくされている店舗・事業所も市内に多数出ておりますが、特に境川右岸(西側)の旧国道208号線沿いの地域に被害が集中している状況です。農林水産業においては、農地の冠水は市全域にわたり、作物や農業用機械・設備で被害が出ております。こちらも現在、早急な全容把握に努めている次第です。また、漁業では河川からの漂流物による漁業施設への被害が出ている状況にあります。

このように、今回の豪雨の被害は甚大かつ深刻であり、復旧には長期化が予想されます。ただ、先ほども申し上げましたとおり、本市としては11日の夜明けから復旧・災害支援のフェーズへと速やかに移行し、スピード感をもった対応に努めております。また、マンパワーが不足する災害関連業務には事務支援を行うなど、一日も早い復旧に向け、全庁を挙げて対応に当たっております。こちらも時系列で追いながら、ご報告させていただきます。11日の午後、今回、市全域で浸水被害が発生し、多くの家財が災害ごみとして廃棄されることが見込まれたため、災害廃棄物等の災害ごみ仮置き場をまず岱明B&G駐車場に開設し、13日から受け入れを始めております。12日には「り災証明書」「被災証明書」の申請窓口・相談窓口を本庁1階ロビーに開設し、同日から受付・相談対応を開始。また、建物の外観等の水害被害調査については、今回、特に浸水被害のひどかった地域を優先的にこちらからプッシュ型により対応。早急な証明発行のため、でき得る限り処理の進捗を上げるべく、鋭意調査を進めている次第であります。13日には豪雨災害への支援活動のため、社会福祉協議会において「災害ボランティアセンター」を開設。16日から派遣を開始し、被災した家財の運び出しや、浸水家屋の泥の掻き出し、清掃など、復旧作業に当たっていただいております。大変ありがたく思っております。また、15日には災害ごみ仮置き場として天水グラウンドを追加開設し、16日から受け入れを始めております。18日には、迅速かつ専属的な災害支援業務を実現するため、総合福祉課内に「令和7年豪雨災害支援室」を設置。さらに、同日付けで異動を行い、4名の職員を専属で配置しております。併せて、13日からは災害対策本部会議を引き継ぐ形で、災害復旧連携会議を開催しております。この会議は土日を含め毎日開催しており、私をはじめ市執行部、そして県職員にも参加いただき、被災者の皆様に一日も早く日常を取り戻していただくため、被災状況や支援状況に関する情報共有、復旧に向けた課題の整理等々を行っています。

次に、国や県からの視察の状況をご報告いたしますと、昨日25日は坂井防災担当大臣が玉名入りされ、本市でも地盤崩落の被害が発生した大倉地区の法面を視察いただき、被災地支援に対する心強い言葉をいただい次第です。また、12日と20日の2回になりますが、木村知事が玉名入りされ、12日は地元の県議会議員や国会議員の先生方と庁舎内での現状確認と今後の対策について意見交換を行い、20日は浸水被害のひどかった境川とその沿線、松木地区を視察いただきました。被災状況の報告と、早期の災害復旧のための支援や将来的な河川改修について意見交換ができ、引き続き県からも協力をいただきながら対策を進めていくことを確認することができた次第です。復旧支援の在り方については、国の激甚災害指定を待つばかりではなく、スピード感ある対応が必要であると考えております。国や県と連携は密にしながらも、市独自で打てることはできる限りのことをやっていきたい。そして、被災者のニーズに合わせた市独自の支援の整備を急ぎたい。私自身、そう考えているところであります。

改めて、今回被害を受けられた皆様がどうか一日も早く元の暮らしを取り戻され、笑顔あふれる日常生活を再び送れますよう、市としましても全庁を挙げ、職員一丸となって全力でスピード感をもった復旧・復興、災害支援に尽力してまいります。そして、今回の災害を教訓に、今後とも市民の生命の保護に万全を期すとともに、河川や水路の改善・改良をはじめ、都市における排水機能の強化と、災害に負けない安心して暮らせるまちづくり、都市の建設に邁進し、鋭意努めてまいる所存であります。

以上、今回の記録的大雨と災害に対する私の所見と、本市における概要説明の報告とさせていただきます。

それでは、これより記事の発表に入らせていただきます。

(以下、市長、発表事項の説明)