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国指定史跡「永安寺東古墳・永安寺西古墳」災害復旧事業が完了しました

更新日:2025年12月1日

国史跡に指定されている「永安寺東古墳・永安寺西古墳」は、平成28年熊本地震や令和2年7月豪雨により被災しましたが、令和6年度に災害復旧工事が完了しました。工事完了を受けて、令和7年11月22日に開催した「装飾古墳一斉公開」では永安寺東古墳石室内を5年ぶりに公開することができ、県内外から多くの方が見学に訪れました。

(写真:令和7年度秋の装飾古墳一斉公開時の様子)

永安寺東古墳 一斉公開時


永安寺東古墳 外での説明


 

経緯・被災状況

永安寺東古墳・永安寺西古墳は、平成11年度から平成17年度に実施した保存整備事業により整備しましたが、平成28年4月14日と16日に発生した熊本地震で強い揺れに見舞われ、両古墳とも被災しました。永安寺東古墳では、平成に整備された墳丘盛土に亀裂が生じ、石室の石材が剥落、裏込めの土が流出し、また永安寺西古墳では、保護施設の破損や古墳盛土の一部が崩落しました。この地震による被災直後から墳丘に防水シートを敷設するなどの応急処置を施し環境調査を行っているなかで、令和2年7月豪雨により永安寺東古墳の墳丘盛土に新たな亀裂が発生しました。

このように自然災害により傷ついた古墳を復旧するため、平成29年度から令和6年度にかけて災害復旧事業を実施し、永安寺東古墳の墳丘や石室内の復旧工事を行いました。

 (写真:被災前の永安寺東古墳)

東古墳 被災前 墳丘


(写真:被災後の永安寺東古墳)

平成に整備した盛土部分に亀裂が入っている状況

東古墳 被災後 墳丘


石室の石材が剥離した状況(黄色の枠内)

石材の剥離状況


 

工事の概要

今回の復旧事業は平成29年度から令和6年度にかけて実施し、最終年度に実施した永安寺東古墳災害復旧工事は亀裂が発生した盛土の改良、石室に侵入する雨水の抑止などを主な目的としました。工法を決定するにあたり、土木、考古学、保存科学など各分野の有識者を招聘し、災害復旧工法検討会議を何度も開催しました。会議で得られた意見を元に様々な科学的調査を行い、被災後の古墳の状態をデータとして収集し、そのデータを元に再度会議を開催し工法について意見交換を行うということを繰り返し、慎重に工法を決定しました。このように工法の決定に時間を要するのは、工事により古墳の歴史的価値が損なわれないようにするためであり、これが文化財における災害復旧を早急に実施できない一因になっています。

このような過程を経て決定した工事は、大きく次の3点に分けられます。1.整備盛土の崩落を防止するためのテラセル擁壁工、2.整備盛土の表面を保護するためのグランドセル法面保護工、3.雨水が石室に侵入するのを防止するための透気防水シートの設置および粘性土の敷設です。また、石室内においては石材間の裏込めの土が流出するのを防ぐため、石材裏側の空洞に砂を充填し、石材間の大きな隙間に粘性土を詰めました。

(写真:今回の復旧工事が完了した永安寺東古墳)

テラセル擁壁


 

課題について

今回の災害復旧工事では、永安寺東古墳石室内の剥離した石材に関しては、接合を行っておりません。これは、接着剤の成分が装飾に及ぼす影響について現状では未知数であるためです。また、永安寺西古墳に関しても、復旧方法を決定するためにはデータが不足していることもあり、今回の事業では工事を見送りました。

 

今後について

令和6年度を以って災害復旧事業は完了しましたが、今回の工事において石室内が装飾を保存するにあたり適切な環境を維持できているか、また豪雨が擁壁に与える影響などを継続的に経過を観察する必要があります。これは、不具合が生じたときに迅速に対応するためですが、他自治体で被災古墳の復旧工事を行う際に参考データとして活用してもらうためでもあります。このようなデータを関係自治体間で共有することで工法検討の期間を短縮することにもつながります。両古墳を後世に引き継いでいけるよう、上記の課題を解決すべく継続的な調査と検討を進めて参ります。

 

永安寺東古墳・永安寺西古墳について

史跡 永安寺東古墳・永安寺西古墳災害復旧事業報告書 (復旧事業の詳細はこちら)

リーフレット「史跡 永安寺東古墳・永安寺西古墳災害復旧事業」(PDF 約2MB) (復旧事業の概要はこちら)


追加情報

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