贈与税・相続税の納税猶予制度の業務
贈与税納税猶予制度概要
農業を営んでいた個人が、生前にその推定相続人の一人に農地等を一括して贈与した場合に、その贈与税の納税について、贈与者の死亡等のときまで猶予する制度です。
特例の適用要件
贈与者の要件
農地等を贈与する日まで引き続き3年以上農業を営んでいた人で、過去に納税猶予に係る一括贈与をしたことがない人
(ただし、贈与税の納税猶予の適用を受けている人が、農業者年金の経営移譲年金を受給するために、その推定相続人の一人に対して、特例適用農地等に使用貸借権を設定して農業経営の移譲を行ったときには、特例制度の継続が認められます。)
受贈者の要件
- 贈与者の推定相続人の一人であること
- 贈与により農地等を取得した日の年齢が18歳以上であること
- 贈与を受ける日まで引き続き3年以上の農業従事の経験があること
- 受贈後、その農地等で農業経営を行うと認められること
対象となる農地等
贈与者が、その農業の用に供している農地の全部を農業後継者(受贈者)に贈与した農地等
納税猶予の申告と継続の手続き
申告の手続き
納税猶予を受けようとする受贈者は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに税務署に期限内申告書と所定の添付書類を提出するとともに、担保を提供する必要があります。
また農業委員会で適用を受ける受贈者が要件に該当する旨の適格者証明の願出書を提出する必要があります。
担保の提供方法(全部担保)
納税猶予の適用を受けた農地等の全部を提供する場合、贈与税に額に相当する担保として提供する
担保の提供方法(一部担保)
納税猶予の額と利子税にみあう見合う額の合計額を担保として提供する
継続の手続き
納税猶予の期限が確定するまでの間、3年ごとに継続届出書を提出する必要があります。
(注意)ただし、平成7年3月31日以前に贈与税の納税猶予の適用をうけた人で全部担保の場合は継続届出書の提出は必要ありません。
継続猶予が打ち切られる場合
全部が打ち切られる場合
特例農地等の面積の20%を超える部分について、譲渡、贈与、転用、貸借権等の設定をした場合、ただし農業経営基盤強化促進法に基づく事業による貸付の場合や身体障害等により営農が困難となった場合は除く
(注意)「転用」には、農業相続人の農業経営のために供する場合を除く
- 受贈者が農地等について農業経営を廃止した場合
- 受贈者が贈与者の推定相続人に該当しないことになった場合
一部が打ち切られる場合
特例農地等について譲渡等があった場合で、その面積の合計が特例農地等の面積の20%以下の場合
(注意)その譲渡等があった部分に似合う猶予税額の一部を納付する必要があります。
農用地区域内の農地を農業経営基盤強化促進法に基づく事業により譲渡した場合は、猶予面積の20%を超えても猶予は継続
(注意)譲渡部分のみ打ち切り
納税猶予税額の免除
1.贈与者が死亡した場合
贈与税の納税猶予税額を免除し、その農地等は受贈者が贈与者から相続によって取得したものとみなされ、相続税が課税されます。
2.受贈者が贈与者より先に死亡した場合
贈与税の納税猶予税額を免除し、受贈者の相続人(贈与者の孫など)が農業を継続するのであれば、通常の相続税の対象として扱われ、相続税の納税猶予の適用を受けることもできます。
相続税納税猶予制度概要
相続人が、農業を営んでいた被相続人から農地等を相続し、自ら営農すること又は貸付けにより農地として利用を継続する場合(相続人の死亡により猶予税額は免除)に限り、農地価格のうち農業投資価格を超える部分に対する相続税の納税を猶予し、次の相続、農業後継者に対する生前一括贈与があるまでの間は、猶予税額を免除するという制度です。
農業経営の存続と細分化防止のため、農業だけに認められた特別措置です。
(注意)相続等により農地の権利を取得した場合には、その農地が所在する農業委員会への届出が必要です。
特例の適用要件
被相続人の要件
- 死亡の日までに農業を営んでいた人
- 贈与税の納税猶予の特例を受けるために農地等の生前に一括贈与した人
相続人の要件
- 相続人の申告期限までに、相続等により取得した農地等で農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる人
- 農地等を生前一括贈与した場合の贈与税の納税猶予の特例の適用を受けた受贈者で、農業者年金の経営移譲年金を受給するため、贈与を受けた農地等を推定相続人の一人に使用貸借し、引き続き納税猶予の特例の適用が認められる人
対象となる農地
- 被相続人から相続、遺贈により取得した農地等であること
- 申告期限内に分割された農地等であること
- 農地等は、被相続人が農業の用に供していたものであること
納税猶予の申告と継続の手続き
申告の手続き
納税猶予を受けようとする相続人は、期限内申告書に所定の事項を記載し、農業委員会で適用を受ける相続人が要件に該当する旨の適格者証明の願出書を提出する必要があります。
また、担保を提供する必要があります。
なお、相続税の納税猶予は期限内申告に係る相続税に限って適用され、期限後申告に係るものについては、適用を受けられません。
相続税の申告期限は、相続発生後10カ月となっています。
担保の提供方法2(全部担保)
納税猶予の適用を受けた農地等の全部を提供する場合、相続税に額に相当する担保として提供する
担保の提供方法2(一部担保)
上記以外の場合、納税猶予の額と利子税にみあう見合う額の合計額を担保として提供する
継続の手続き(全部担保)
継続届出は必要ありません。
継続の手続き(一部担保)
納税猶予の期限が確定するまでの間、3年ごとに継続届出書を提出する必要があります。
継続猶予が打ち切られる場合
全部が打ち切られる場合
- 特例農地等の面積の20%を超える部分について、譲渡、贈与、転用、貸借権等の設定をした場合 (「転用」には、農業相続人の農業経営のために供する場合を除く)
- 農業相続人が農地等について農業経営を廃止した場合
- 農業相続人が特例農地等の一部を農業後継者に生前贈与した場合
- 3年ごとの継続届出書の提出がなかった場合
- 農業相続人が任意に納税猶予の適用を取りやめる場合
一部が打ち切られる場合
特例農地等について譲渡等があった場合で、その面積の合計が特例農地等の面積の20%以下の場合
(注意)その譲渡等があった部分に似合う猶予税額の一部を納付する必要があります。
納税猶予税額の免除
- 農業相続人が死亡した場合
- 特例農地等の全部を農業後継者に生前一括贈与をした場合
(なお、経営移譲年金を受給するために、特例農地等を農業後継者に使用貸借した場合、農業生産法人に使用貸借した場合は、猶予が打ち切られます。) - 20年以上その特例農地等で農業経営を続けた場合
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