防災コラム その4
玉名市防災コラム
まもなく九州北部豪雨から1年が経ちますが、最近でも大分県内などでは急な大雨に見舞われた地域もあります。最近は雨の降り方が激しくなってきているのかな?と不安を抱かれる方も多いのではないでしょうか。
ひとたび大雨になると、小さな河川では急激な水位上昇が起こりやすく、上流や裏山からの土砂の流出・堆積などが起こりやすい傾向にあり、人命・財産に甚大な影響を及ぼすことが心配されます。そこで、第4回では、九州北部豪雨とその被害の特徴を踏まえ、今後の備えについて考えたいと思います。
第4回「過去の災害から学ぶ・九州北部豪雨」
九州北部豪雨の猛烈な雨について、そもそもの原因は、次々と生まれた大量の積乱雲の連なりである「線状降水帯」が形成されたことに始まります。
- 平成29年7月5日〜6日にかけて、西日本に梅雨前線が停滞し、この影響で福岡県と大分県では、5日昼頃から夜遅くにかけて猛烈な雨が降り続きました。福岡県朝倉市では1時間雨量が最大で100mmを超え、1日雨量は540mmに達しました。朝倉市における例年7月分の約1.5倍もの雨が1日で降ったことになります。この数字は記録的な豪雨であり、甚大な被害となりました。
- 九州北部豪雨による土砂災害では、九州全体で307件、福岡県232件、大分県42件発生し、死者・行方不明者は福岡県と大分県を合わせて41名にのぼりました。
- 過年度の平成26年広島豪雨や、平成27年関東・東北豪雨も、この線状降水帯が原因です。熊本県内でも、平成28年6月20日夜から21日未明にかけて、線状降水帯による豪雨が発生し、甲佐町で1時間に最大150mmもの大雨が降り続いた記録があります。
- 豪雨時は時間経過とともに、事態が悪化してしまう可能性があるため、早めの避難行動をとることが肝心です。しかしながら、これまでの災害経験では、住民の避難行動の判断が大きな分岐点となるケースが見られました。
- 平成24年7月九州北部豪雨(前回豪雨)を経験した方々のうち、地域で自主防災マップを作成し、避難時の要支援者と支援者の名簿作成や避難訓練を行うなど日頃から行政と住民が地道な防災活動に取組んできた方々は、住民自らが危険を的確に判断し、近隣住民からの声掛け等によって適切な避難行動がとられました。
- 一方で、前回豪雨時に被災しなかった経験から、かえって油断を招いてしまい、自宅が安全と考え、川の氾濫に巻き込まれそうになった例もありました。
- 今後に向けては、住民が避難行動を的確に判断するための情報収集が重要です。つまり、大雨の際にどのような情報が、気象庁等から配信されているのかを把握することです(例えば:大雨注意報、大雨警報、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、はん濫危険情報)。
- しかしながら、これらの役に立つ情報が住民すべてに理解・共有されているわけではありません。行政では情報の周知に一層注力しますが、住民の皆さんもこれらの情報にもっと関心を持っていただく必要があります。そのことが自分と家族等の命を守る最善策となります。
- 豪雨から自分と家族等を守るためには、日頃の備えが重要です。少しでも危険を感じたら、行政からの避難勧告を待たずに、自ら危険を判断し避難することや、近隣住民に避難を呼びかけて避難しましょう。地域の危険箇所の確認や避難場所の把握など、日頃から災害に備えましょう。そして、今後も行政と住民がともに備えの重要性を理解・共有し、被害の軽減を実践していきましょう。
今月のプラスアルファ
熱中症に注意!
今年も暑い夏がやってきます。熱中症は、猛暑日など気温の高い日だけでなく、初夏や梅雨明けなど、体が暑さに慣れていないときに、気温が急上昇するときにも注意が必要です。このような時期は、体が暑さになれていないため、上手に汗をかくことができず、体温をうまく調整できません。
熱中症の症状
熱中症の初期症状では、めまい、筋肉痛、頭痛、吐き気、疲労感などがみられます。
熱中症かもと思ったら、以下の応急措置を行ってください。
- 風通しのよい日陰や冷房の効いた場所など涼しい場所に移動
- 衣類を緩め、氷嚢や冷たいタオルで首の周り、わきの下、足の付け根を冷やす
- 自分で水が飲める場合は、水分や塩分を補給
応急処置を行っても症状が改善されないときはすぐに医療機関を受診しましょう。意識がない、水分補給ができない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
熱中症の予防
熱中症の予防には、こまめに水分を補給すること、暑さを避けることが重要です。
熱中症は室内でも夜間でも多く発生しています。特に高齢者は、温度に対する感覚が弱くなっているため、室内でも熱中症にかかりやすくなっています。
また、幼児は、体温調整機能が十分発達していないため、特に注意が必要です。晴れた日は、地面に近いほど気温が高くなるため、幼児やペットは大人以上に熱い環境にいることになります。
熱中症にならないため、以下のことに気をつけましょう。
- 炎天下や、風通しが悪い場所での運動や作業を控える。
- 外出時は、日傘や帽子を用い、通気性の良い衣服を身につける。
- 室内にいて、のどが渇かなくても、こまめに水分を取る。
- 部屋の温度をこまめにチェックする。
- 室温が28度を超えるときには、無理をせずエアコンを使用する。
- 日頃から栄養バランスのよい食事と睡眠を十分取り、体力づくりを行う。
熊本県ホームページ:熱中症予防についてのお知らせ
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_11979.html
熱中症の危険性を確認する
環境省では、熱中症予防のため、地域ごとの暑さ指数を公表しています。この暑さ指数が28度を超えると、熱中症患者が著しく増加するといわれています。屋外での作業や運動時に熱中症にならないよう、暑さ指数をうまく活用しましょう。
暑さ指数は環境省のホームページ(http://www.wbgt.env.go.jp/)で確認できます。
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