超々ジュラルミン開発者 五十嵐勇氏が熊本県近代文化功労者に決定しました
超々ジュラルミン開発者 五十嵐 勇
(写真提供:株式会社UACJ)
令和6年度熊本県近代文化功労者に決定
玉名市出身で超々(ちょうちょう)ジュラルミンの開発者である五十嵐 勇(いがらし いさむ)氏が令和6年度熊本県近代文化功労者に決定しました。
来歴
五十嵐氏は、明治25年玉名郡月瀬村(現 玉名市溝上)東光明寺の住職の長男として生まれました。旧制玉名中学校(現 熊本県立玉名高等学校)を卒業後、京都帝国大学(現 京都大学)理学部物理学科へ入学。卒業後は住友合資会社(後の住友金属工業株式会社)に勤務します。入社後はさまざまな合金の研究に取り組み、昭和10年海軍航空廠から同社への開発要請を受け、超々ジュラルミンの開発に着手。軽くて強いアルミニウム合金には、数カ月経つとなぜか割れるという弱点がありましたが、割れを短時間で起こす実験方法を生み出し、その後にさまざまな物質を加えた合金を作って割れるかどうかを試すという逆転の発想で、超々ジュラルミンの開発に成功しました。
この超々ジュラルミンは、零式艦上戦闘機(通称 ゼロ戦)の主翼の骨組み部分に使われ、速力、上昇力、航続力に優れた機体を生み出しました。終戦後は東北大学、秋田大学、岩手大学で教授を務めるなど後進の育成に尽力。昭和43年、叙勲「旭日中綬章」を受章。昭和49年、第15回本多記念賞を受賞。昭和61年にご逝去されました。
改良された超々ジュラルミンは、航空機の機体以外にも自動二輪車、自動車のアルミホイールや金属バット、スマートフォンのボディなどさまざまなところで利用されており、現在の私たちの生活を鑑みたとき、その功績は多大なものであると評価されました。
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