常設展「刀匠・同田貫」
常設展「刀匠・同田貫」
歴史博物館こころピアでは、所蔵する刀剣「同田貫」の展示替えを毎月行っています。
玉名郡亀甲村(現玉名市亀甲)を拠点として製作された豪刀の雄姿を、ぜひ博物館でご覧ください。
刀 九州肥後同田貫藤原正國(安土桃山時代)
現在展示中の刀剣
上段:刀 九州肥後同田貫藤原正國 七月吉日銘
下段:脇差 河内守源永國(関連展示・新収蔵品)
展示予定
展示予定資料 | 展示日程 |
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刀 九州肥後同田貫藤原正國<七月吉日銘> 脇差 河内守源永國(関連展示・新収蔵品) | 令和6年4月18日(木曜日)から5月16日(木曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介 脇差 肥後住同田貫上野介 | 5月17日(金曜日)から6月16日(日曜日) |
刀 九州肥後同田貫藤原正國<二月吉日銘> 脇差 肥後住正國(九代正勝作) | 6月18日(火曜日)から7月17日(水曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介<慶長十八年銘> 脇差 肥後同田貫宗廣<慶応四年銘> | 7月18日(木曜日)から8月18日(日曜日) |
刀 大和守延壽政勝(正勝)<文化六年銘> 脇差 大和守政勝(正勝) | 8月20日(火曜日)から9月16日(月曜日・祝日) |
刀 肥後住同田貫宗廣作<嘉永元年銘> 脇差 肥後國同田貫宗廣<天保六年銘> | 9月18日(水曜日)から10月17日(木曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介【玉名市指定】 脇差 肥後同田貫宗春<慶応七年銘> | 10月18日(金曜日)から11月20日(水曜日) |
特別展 よみがえる同田貫-豪刀の誕生とその再興- | 11月24日(日曜日)から令和7年2月2日(日曜日) |
令和6年11月21日(木曜日)から11月23日(土曜日)の期間は、特別展準備のため資料をご覧いただけません。
展示資料および展示日程は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
同田貫とは
「同田貫<どうだぬき>」は、肥後国を治めていた菊池氏のもとで作刀を行った「延寿<えんじゅ>」の分派として生まれ、玉名郡亀甲村(現玉名市亀甲)を主な拠点として活動した刀匠集団です。
初代正國<まさくに>は加藤清正お抱えの刀匠として活躍し、その作風は重厚かつ強靭な実戦刀として、後世「兜割り正國」の異名を天下に轟かせました。その後、主家の改易や実戦刀の需要低下の影響で衰退の一途を辿るものの、第9代正勝<まさかつ>による再興を経て、次代宗廣<むねひろ>の手により、再び肥後国を代表する刀剣となりました。明治時代の廃刀令によって刀剣の価値が変質し、同田貫もその時流に呑まれ衰亡していきましたが、近年ではゲームやアニメといった分野からも再評価がなされ、さまざまな方面からの調査研究も進展しています。
初代 正國(生年不詳-1613年)
初名は信賀<のぶよし>。のちに正國、上野介と称し、正國の「正」の字は、加藤清正より一字拝領したものとも伝わる。
当初、肥後国菊池郡稗方<ひえかた>で作刀を行うが、のちに玉名郡亀甲村へ転居し、ここを拠点として活動する。現存する正國作の刀剣類はいずれも大業物であり、実戦に供される豪壮なつくりを特徴としている。
【館蔵資料】
刀 九州肥後同田貫藤原正國
刀 九州肥後同田貫上野介(市指定)
脇差 肥州住同田貫上野(介) 花押 ほか
9代 正勝(1771年-1840年)
重勝の子。小山右兵衛尉と称する。
文化3年(1806年)より大和守を称し、以後銘に「大和守」を切る。
薩摩国の伯耆守正幸<まさよし>に師事し、初代正國以降衰退した同田貫を復興させると共に、玉名郡坂下手永塘方・井樋方(注1)として各種の土木工事にも多大な功績を残した。なお、秋丸眼鏡橋(玉名市高瀬)の橋裏天井面には「井樋方 小山右兵衛」の銘が現存している。
(注1)塘方は堤防管理、井樋方は水利管理の役職
【館蔵資料】
刀 大和守延壽政勝
10代 宗廣(1801年-1871年)
正勝の子。斎藤高壽より一字を拝領し壽太郎<じゅたろう>・延壽太郎<えんじゅたろう>と称する。
文政元年(1818年)沼田有宗<ありむね>(水心子正秀門弟)へ入門し鍛刀を学んだ後、中国地方・京都・江戸など各地で刀匠と交流し、帰国後は作刀に励む。各地からの注文は多数に及び、他藩からの入門者も抱え、その声望は諸国に聞こえたという。
【館蔵資料】
刀 肥後住同田貫宗廣作 ほか
11代宗春(1824年-1901年)
正勝の子。虎祐、三郎、延壽三郎<えんじゅさぶろう>を称する。
兄宗廣と共に作刀に励み、後に宗廣に養子入りして11代当主となる。
同田貫終末期の刀匠のため作刀数は少ないものの、皇室献上品(鏡・剣)製作に携わった旨の古文書のほか、様々な活動記録が残されている。
【館蔵資料】
脇差 肥後同田貫宗春
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