常設展「刀工集団・同田貫」
常設展「刀工集団・同田貫」
歴史博物館こころピアは「同田貫にいつでも会える博物館」として、所蔵刀剣「同田貫」の展示替えを毎月行っており、令和7年2月8日からは展示点数を3振に増やして公開中です。
玉名郡亀甲村(現玉名市亀甲)を拠点として製作された豪刀の数々を、ぜひ当館でご覧ください。
夏休み拡大展示「こころピアの同田貫たち 〜刀剣から火縄銃まで〜」
夏休み期間にあわせ、館蔵同田貫資料と、その祖流とされる「延壽」の刀剣を展示します。
体験学習「夏休みたんけん!博物館」とあわせ、ぜひご来館ください。
・展示期間 : 令和7年7月12日(土)から8月31日(日)
・展示資料 : 刀 銘「九州肥後同田貫藤原正國<二月吉日>」
刀 銘「肥州住藤原清國作 一」
刀 無銘<伝・延壽國吉>
火縄銃 銘「同田貫内田四郎八正頼」
鐙 銘「肥後同田貫盛廣」 ※展示資料は変更となる場合があります
・展示場所 : 常設展示室内 同田貫コーナー
・観 覧 料 : 入館料のみ
・そ の 他 : 期間中ご来場いただいた方には、同田貫モチーフの缶バッジ1点を贈呈します。
配布予定数に達し次第終了しますので、あらかじめご了承ください。
刀 銘「九州肥後同田貫藤原正國」
火縄銃 銘「同田貫内田四郎八正頼」
缶バッジデザイン
令和7年の展示予定
展示予定資料 | 展示日程 |
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薙刀 九州肥後同田貫上野介 刀 九州肥後同田貫上野介【接収刀剣】 2月2日まで特別展「よみがえる同田貫」も開催中 | 1月10日(金曜日)から2月7日(金曜日) |
刀 九州肥後同田貫藤原正國<七月吉日銘> 刀 肥後國玉名住同田貫延壽太郎直景作 脇差 肥後同田貫宗廣<慶応四年銘> | 2月8日(土曜日)から3月14日(金曜日) |
刀 九州肥後同田貫藤原正國<二月吉日銘> 刀 大和守延壽政勝<文化六年銘> 脇差 大和守政勝 | 3月15日(土曜日)から4月17日(木曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介【玉名市指定】 刀 九州肥後同田貫上野(切)<慶長十八年銘> 脇差 肥州住同田貫上野<花押> | 4月18日(金曜日)から5月15日(木曜日) |
薙刀 九州肥後同田貫上野介 刀 肥後同田貫宗廣<天保六年銘>【玉名市指定】 脇差 肥後國同田貫宗廣<天保六年銘> | 5月16日(金曜日)から6月18日(水曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介【接収刀剣】 刀 肥後同田貫宗廣作<天保十年銘> 脇差 高田住行光(豊後国高田鍛冶)【参考展示】 | 6月19日(木曜日)から7月11日(金曜日) |
【夏休み拡大展示】 刀 九州肥後同田貫藤原正國<二月吉日銘> 刀 肥州住藤原清國作 刀 無名<伝・延壽國吉> 火縄銃 同田貫内田四郎八正頼<弘化三年銘> | 7月12日(土曜日)から8月31日(日曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介【玉名市指定】 刀 九州肥後同田貫上野介 脇差 肥州住同田貫上野<花押> | 9月2日(火曜日)から9月19日(金曜日) |
刀 九州肥後同田貫上野介 刀 肥後住同田貫宗廣作<嘉永元年銘> 脇差 肥後同田貫宗春<慶応三年銘> | 9月20日(土曜日)から10月16日(木曜日) |
刀 九州肥後同田貫藤原正國<二月吉日銘> 刀 大和守延壽政勝<文化六年銘> 脇差 肥後國同田貫宗廣<天保六年銘> | 10月17日(金曜日)から11月19日(水曜日) |
刀 九州肥後同田貫藤原正國<七月吉日銘> 刀 肥後同田貫宗廣<天保六年銘>【玉名市指定】 脇差 肥後同田貫宗廣<慶応四年銘> | 11月20日(木曜日)から12月17日(水曜日) |
薙刀 九州肥後同田貫上野介 刀 肥州住藤原清國作 脇差 肥州住同田貫上野<花押> | 12月18日(木曜日)から1月15日(木曜日) |
展示資料および展示日程は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
同田貫とは
「同田貫<どうだぬき>」は、肥後国を治めていた菊池氏のもとで作刀を行った「延壽<えんじゅ>」の分派として生まれ、玉名郡亀甲村(現玉名市亀甲)を主な拠点として活動した刀工集団です。
初代正國<まさくに>は加藤清正お抱えの刀工として活躍し、その作風は重厚かつ強靭な実戦刀として、後世「兜割り正國」の異名を天下に轟かせました。その後、主家の改易や実戦刀の需要低下の影響で衰退の一途を辿るものの、第9代政勝※<まさかつ>による再興を経て、次代宗廣<むねひろ>の手により、再び肥後国を代表する刀剣となりました。明治時代の廃刀令によって刀剣の価値が変質し、同田貫もその時流に呑まれ衰亡していきましたが、近年ではゲームやアニメといった分野からも再評価がなされ、さまざまな方面からの調査研究も進展しています。
※政勝は正勝とも書かれますが、文化3年(1806)に発給された宣旨や、その作刀銘に「政勝」の名が確認できるため、当館ではこちらの表記を採用しています。
初代 正國(生年不詳-1613年?)
初名は信賀<のぶよし>。のちに正國、上野介と称し、正國の「正」の字は、加藤清正より一字拝領したものとも伝わる。
当初、肥後国菊池郡稗方<ひえかた>で作刀を行うが、のちに玉名郡亀甲村へ転居し、ここを拠点として活動する。現存する正國作の刀剣類はいずれも実戦に供される豪壮なつくりを特徴としている。
【館蔵資料】
刀 九州肥後同田貫藤原正國
刀 九州肥後同田貫上野介(市指定)
脇差 肥州住同田貫上野(介) 花押 ほか
9代 政勝(1771年-1840年)
重勝の子。小山右兵衛と称する。
文化3年(1806年)より大和守を称し、以後銘に「大和守」を切る。
薩摩国の伯耆守正幸<まさよし>に師事し、初代正國以降衰退した同田貫を復興させると共に、玉名郡坂下手永塘方・井樋方(注1)として各種の土木工事にも多大な功績を残した。なお、秋丸眼鏡橋(玉名市高瀬)の橋裏天井面には「井樋方 小山右兵衛」の銘が現存している。
(注1)塘方は堤防管理、井樋方は水利管理の役職
【館蔵資料】
刀 大和守延壽政勝
10代 宗廣(1801年-1871年)
政勝の子。斎藤高壽より一字を拝領し壽太郎<じゅたろう>・延壽太郎<えんじゅたろう>と称する。
文政元年(1818年)沼田有宗<ありむね>(水心子正秀門弟)へ入門し鍛刀を学んだ後、中国地方・京都・江戸など各地で刀工と交流し、帰国後は作刀に励む。各地からの注文は多数に及び、他藩からの入門者も抱え、その声望は諸国に聞こえたという。
【館蔵資料】
刀 肥後住同田貫宗廣作 ほか
11代宗春(1824年-1901年)
政勝の子。虎祐、三郎、延壽三郎<えんじゅさぶろう>を称する。
兄宗廣と共に作刀に励み、後に宗廣に養子入りして11代当主となる。
同田貫終末期の刀工のため作刀数は少ないものの、皇室献上品(鏡・剣)製作に携わった旨の古文書のほか、様々な活動記録が残されている。
【館蔵資料】
脇差 肥後同田貫宗春
その他
常設展「刀工集団・同田貫」の壁紙を作成しました。
下記ファイル、または展示室に設置されたQRコードからぜひアクセスください。
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