玉名の遺跡シリーズ27「柳町遺跡」
菊池川右岸の玉名平野に位置する低湿地遺跡で、ここが全国に知られたのは、平成9年の「日本最古の文字発見!」という報道からでした。弥生時代終末期から古墳時代前期の井戸跡から木製短甲が2点出土していますが、このうち1号短甲の一部(棒状留具)から5文字が発見されました。この文字は奈良文化財研究所等などによる分析の結果、墨書や刻まれた文字ではなく、草木汁のような黒色色材で横書きされていることがわかっています。しかし、5文字のうち「田」以外は判読不明です。
また、集落の周囲で確認された自然流路からは多量の木製農具(鍬・鋤・鎚・杵など)が出土しています。一帯は縄文時代晩期から弥生時代早期頃(稲作開始期)の土器が出土し、流路からは弥生時代前期の堰や杭列と共に網代なども検出されています。玉名平野からは、弥生時代中期(県内最古)の水田跡も発見されており、早い段階から稲作が行われていたことがわかっています。
これらのことから、柳町遺跡は、菊池川流域の日本遺産(二千年にわたる米作り)の構成文化財の一つとなっています。当遺跡の概要をまとめた添付のリーフレットをご確認ください。
参考文献
玉名市教育委員会 『柳町遺跡』玉名市文化財調査報告第20集 2009
熊本県教育委員会『柳町遺跡1』熊本県文化財調査報告第200集 2001
熊本県教育委員会『柳町遺跡2』熊本県文化財調査報告第218集 2004
熊本県教育委員会『玉名平野遺跡群2』熊本県文化財調査報告第347集 2023
玉名市立歴史博物館こころピア『玉名の弥生ライフ』令和3年度企画展図録 2021
関連記事
菊池川流域日本遺産の紹介 第2回 菊池川流域の弥生時代の大集落遺跡群
カテゴリ内 他の記事
- 2025年10月10日 リーフレット「玉名の遺跡シリーズ」を配布...
- 2025年9月5日 玉名の遺跡シリーズ26「高瀬本町通遺跡」
- 2025年8月8日 玉名の遺跡シリーズ25 「中世河口港関連遺...
- 2025年7月7日 玉名の遺跡シリーズ24「小路古墳」
- 2025年6月4日 玉名の遺跡シリーズ23「経塚・大塚古墳群」...
- 2025年4月14日 玉名の遺跡シリーズ22「山田白山宮十二坊塔...
- 2025年3月11日 玉名の遺跡シリーズ21 「六反製鉄跡」