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菊池川流域日本遺産の紹介 第11回 菊池川流域の井手・溜池

更新日:2024年3月1日

米作り 二千年にわたる大地の記憶 〜菊池川流域「今昔『水稲』物語」〜

菊池川流域(玉名市・菊池市・山鹿市・和水町)は、2,000年前から現代に至るまでの米作りに関する有形文化財、祭りや食文化、文化的景観が残されている稀有な場所であるとして、平成29年4月に日本遺産の認定を受けました。

日本遺産とは、文化庁が平成27年度から開始した事業です。文化財保護法等による文化財保護制度とは異なり、指定文化財・未指定文化財の枠を超えた「我が国の文化伝統を語るストーリー」として観光などに活用し、地域活性化につなげていくことが目的です。

第11回  菊池川流域の井手・溜め池

井手(いで)とは、人工的に造った「農業用水路」のことです。菊池川流域では、井手は平安時代後半ごろから造られます。まず水を確保するため、大小さまざまな溜池を造成するか、川に堰(せき)を築き水をせき止め、そこから田に向けて溝を掘っていきます。標高の高い場所に水を溜めれば、そこより低い場所に水を引くことができるため、溜め池や川の堰は比較的標高の高い場所に造られました。

菊池市には原(はる)井手・築地井手・古川兵戸(ふるかわひょうど)井手など、山鹿市には御宇田(みうた)井手・津留井手・小坂(おさか)井手など、和水町には平野井手、玉名市には寺田井手・河崎井手・浮田溜池があります。

寺田井手

寺田井手は、寺田井樋(いび)や寺田井樋用水とも呼ばれます。

慶長10年(1602年)、加藤清正が行った新田開発により、塘下8ヶ村(小島・千田川原・小野尻・川島・北牟田・大浜・大園・横島)と呼ばれる600ヘクタール以上の小田牟田新地が完成しました。その際に井手も造り木葉川の水を小田牟田まで引入れましたが、十分な用水は確保できず農民は干害に苦しめられました。そこで宝暦14年(1764年)、玉名村出身の小田手永惣庄屋 小田次左衛門とその子 茂助は、寺田に新しく井手を掘って菊池川から取水し木葉川の水と合わせて用水を確保する工事を行いました。この工事により小田牟田は干害を免れるようになりましたが、それでもなお水面が田地より低い所もありました。文政12年(1829年)、小田手永惣庄屋 三村章太郎の改修により、小田牟田のみならず海辺の干拓地まで用水が行きわたるようになりました。この井手は今でも、小田牟田や横島に用水をもたらしています。

村人は彼らの功績を称え石碑を寺田に建てました。正面には「井手乃碑」の字と小田親子の功績を称える451字の碑文、背面には「後の井手乃碑」の字と三村章太郎の功績を称える407字の碑文を彫ってあります。

寺田井手の碑の写真


(井手の碑・後の井手の碑)


河崎井手

菊池川右岸の小浜・滑石・高道がある大野牟田は、江戸時代後期になり干拓地の増加により用水が不足するようになりました。そこで文化年間(1804年から1817年)末期、滑石村庄屋 大野十左衛門は河崎に井手を造って菊池川から大野牟田へ用水を引き入れる工事を行いました。この井手は十左衛門の名から「十左衛門堀」「じゅうじゃぼり」とも呼ばれます。さらに天保13年(1842年)、坂下手永惣庄屋 三村章太郎は迫間村に水門を設けて井手につなぐ工事を行い、海辺の干拓地まで用水が行きわたるようになりました。

この2人の功績を後世に伝えようと、慶応2年(1866年)に木下初太郎の筆による顕彰碑が河崎に建てられました。

大野十左衛門は滑石村出身で、墓は滑石にあります。また同地の大野神社は大野十左衛門を祀っています。

河崎井手の碑の写真


(向かって左:河崎井手の碑)


浮田溜池

浮田溜池は、玉名市岱明町開田と玉名市築地に所在する3つの池がつながった溜池です。上から、上ノ池、中ノ池、下ノ池と呼ばれます。まず、坂下手永惣庄屋 清田新之允が文化13年(1816年)に中ノ池を築造し、庄山村・友田村・上村・中程村・下村に用水をもたらします。しかし行末川下流域の村々では、干ばつの際に行末川の上流各所で堰き止められ水不足に悩まされていました。そこで、嘉永5年(1852年)に坂下手永惣庄屋 関忠之丞が上ノ池と下ノ池を築造し、鍋村・扇崎村・山下村・野口村・開田村・築地村など15ヶ村に用水が行きわたるようになりました。

この工事の恩恵を忘れないようにと、忠之丞の功績を称えた頌徳碑が下ノ池の脇に明治39年に村人たちにより建てられました。

浮田溜池は現在も周辺の地域に用水をもたらしています。

関忠之丞頌徳碑の写真


(関忠之丞頌徳碑)

 

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日本遺産ロゴマークの画像


菊池川流域日本遺産ロゴマークの画像



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