豪潮式石造宝篋印塔
豪潮式石造宝篋印塔(ごうちょうしきせきぞうほうきょういんとう)
寛永2年(1749年)、玉名市岱明町に生まれた僧 豪潮は、8万4千基の宝篋印塔の建立を大誓願し、享和2年(1802年)に佐賀県三養基郡基山町の大興善寺境内に最初の宝篋印塔を建立したといわれます。その後、豪潮が生涯にわたって全国に建立した宝篋印塔は、2千基余りに及ぶとされます。一般的な宝篋印塔は、方形の塔身上に馬耳状の隅飾突起を持つ笠をのせますが、豪潮式宝篋印塔は、蓮華座を挟んで上下に分かれた塔身上に外側へ大きく反った隅飾突起を持つ笠をのせるのが特徴です。玉名市内には、3基の豪潮式宝篋印塔が残り、すべて玉名市重要有形文化財に指定されています。
豪潮式石造宝篋印塔(字堂ノ後)
【種別】玉名市指定重要有形文化財(建造物)
【員数】1基
【指定年月日】平成21年3月17日
【所在地】玉名市繁根木60
【所有者】個人
【内容・特徴】
本塔は、高さ4.28メートルの凝灰岩製で、六角形を呈する4段の基礎・基壇上に、蓮華座を挟んだ方形の塔身、笠、相輪を重ねます。銘文から、長崎伊勢町線香屋駒次郎が世話人となり、長崎北馬町の石工 山下源蔵の手で製作されたことが分かります。雄大で均整のとれた美しさを持ち、豪潮式宝篋印塔の典型となるものです。
この一帯は、豪潮も住職を務めた繁根木八幡宮の神宮寺(神社に付属して建てられた寺院)であった寿福寺の寺域で、豪潮60歳時の文化5年(1808年)に、師 豪旭の供養のためその墓近くに建立したものです。
【地図】
豪潮式石造宝篋印塔(大覚寺)
【種別】玉名市指定重要有形文化財(建造物)
【員数】1基
【指定年月日】平成21年3月17日
【所在地】玉名市高瀬354(大覚寺境内)
【所有者】民間団体
【内容・特徴】
本塔は、高さ2.98メートルの凝灰岩製で、文化12年(1815年)の銘が認められます。高瀬の豪商であった古閑七左衛門が、先祖代々の極楽往生を願って旦那寺である大覚寺境内に建立したもので、繁根木字堂ノ後のものよりも小ぶりで簡素なものです。銘文の筆跡や造塔に豪潮が直接関与したかは不明ですが、市内に現存する3基の豪潮式宝篋印塔の1基であり、歴史的価値の高いものです。
【地図】
豪潮式石造宝篋印塔(繁根木北)
【種別】玉名市指定重要有形文化財(建造物)
【員数】1基
【指定年月日】平成21年3月17日
【所在地】玉名市繁根木74
【所有者】北繁根木区、他3区
【内容・特徴】
本塔は、繁根木八幡宮境内にあったものが、明治期の廃仏毀釈時に現在地へ移されたとされます。経文、願文、彫刻も念の入った作で、相輪は失われていますが、古風な作風の中にも豪壮さがあります。高瀬で御米問屋や商船問屋を営んでいた木村久兵衛雅矩が先祖供養のために建立したもので、豪潮が設計したとの見解もあります。このことからこの塔は、豪潮建立初期のものである可能性があり、歴史的価値の高いものです。
【地図】
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