慶専寺宝塔群
文永六年銘宝塔
文永八年銘宝塔
弘安七年銘宝塔
慶専寺宝塔群(きょうせんじほうとうぐん)
【種別】玉名市指定重要有形文化財(建造物)
【指定年月日】令和4年3月23日
【所在地】玉名市中1364番地 慶専寺境内
【所有者】個人
【内容・特徴】
慶専寺には全部で13基の宝塔があります。元は玉名市山田にあった吉祥寺の宝塔だったものを、吉祥寺が明治期に廃寺となったことを受けて、慶専寺が引き取ったものと言い伝わります。吉祥寺については不明な点が多くありますが、『肥後国誌』や『玉名郡村誌』によると「天台宗比叡山延暦寺の末寺で繁根木八幡宮の社僧を勤めていた」とされています。吉祥寺は中世には白山信仰と結びついた天台修験の寺院として栄え、山田一帯は修験者の支配する村であったと考えられます。
慶専寺にある13基の宝塔のうち3基は、鎌倉期の紀年銘をもち、文献史料が少ない中世の歴史を知る上で貴重な文化財として歴史的価値の高いものです。
文永六年銘宝塔
宝塔塔身以外は別材であるため、宝塔塔身のみを指定対象とします。
塔身の軸部に方形の龕(がん)を彫り、その中に宝塔の本尊である多宝如来(ア)と釈迦如来(バク)の梵字を薬研彫りで刻みます。梵字はそれぞれ蓮華座の上に配します。梵字・蓮華座・銘文は赤色顔料で彩色し、また頸部には赤色顔料で線を引き、勾欄(こうらん)を表現しています。
〈銘文〉 ( )内は想定される文字
敬白
釋迦塔寶佛申也
右造立志者為慈父
滅罪生善増進佛道
所奉(造立)如(件)
文永第五天十二月廿日
往生同六年中冬廿七日奉
造立之
文永八年銘宝塔
宝塔塔身以外は別材であるため、宝塔塔身のみを指定対象とします。
塔身の軸部に方形の龕(がん)を彫り、その中に宝塔の本尊である多宝如来(ア)と釈迦如来(バク)の梵字を薬研彫りで刻みます。梵字はそれぞれ蓮華座の上に配します。梵字・蓮華座・銘文は赤色顔料で彩色し、また頸部には赤色顔料で線を引き、勾欄(こうらん)を表現しています。
〈銘文〉 Xは不明文字
X者過去XX
文永八年
弘安七年銘宝塔
宝塔塔身以外は別材であるため、宝塔塔身のみを指定対象とします。
塔身の軸部に方形の龕(がん)を彫り、その中に宝塔の本尊である多宝如来(ア)と釈迦如来(バク)の梵字を薬研彫りで刻みます。龕上部には三角文が見られます。梵字はそれぞれ蓮華座の上に配します。梵字・銘文の一部には赤色顔料が残っています。
〈銘文〉 円は異体字
右造立志者為
増円現當二世
悉地成就
円満
弘安七年
【地図】
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