高瀬御蔵跡
更新日:2025年10月30日
礎石出土状況(2トレンチ、北から撮影)
高瀬御蔵跡(たかせおくらあと)
【種別】玉名市指定史跡
【指定年月日】令和7年10月24日
【所在地】玉名市永徳寺413番21、33
【所有者】個人
【内容・特徴】
高瀬御蔵は、菊池川流域の年貢米を収めた藩営の施設で、高瀬御茶屋とともに近世初頭から逐次整備されました。高瀬御蔵で検査を受けた年貢米は、大坂堂島へ船で運ばれ米市場で取引されました。この御蔵からの積出し量は熊本藩からの全積み出し量の半数を占めており、江戸時代を通じて藩および地域の財政を支え続けた施設でした。明治10年の西南戦争で建物は焼失しましたが、調査で礎石などの遺構が現存しており瓦や炭化米など遺物の存在が確認されました。
西側隣接地では御蔵の礎石が露出しており、国史跡に指定されています。今回検出した礎石と、隣接地の礎石との空間の状況が不明確であり、必ずしも同じ建物跡とは断定できませんが、礎石列に並行して凝灰岩切石列も南北方向で検出されたことから、ここで何らかの境界があったと考えられ、江戸中期に描かれた絵図とは異なり、数回の建替えや増築などもあったことが想定されます。なお、陶磁器等も出土していますが、現段階では礎石の明確な建設時期は不明確であるものの、西南戦争時の焼土層下から検出されるため、明治10年以前のものであり、江戸時代末期までさかのぼる可能性があります。隣接地とともに地域の歴史の正しい理解のために欠くことができない貴重な遺跡です。




























































