企画展 「子どものための農具展1 -稲作-」
この企画展は、機械化が進む以前に使われていた稲作の農具を、とくに子どもたち向けに紹介したものです。
雨の日の農作業時には、バッチョガサとミノが必需品でした。飲水は水樽(みずたる)にいれて田に持っていきました。
荒起こし(あらおこし)
稲を植える前には、田の土を耕します。これを荒起こしと言いますが、牛や馬の背中に鞍(くら)をつけて、これに犂(すき)をつないでひっぱります。人は犂の後ろを持ってかじをとります。荒起こしは、深く耕すほど養分のたくさん入ったいい土になります。
牛や馬はどこの農家でも必ず飼われていました。えさは、わら・かや・くさをウマハミキリで小さく切り、米ぬかに混ぜて与えました。
荒起こしの後、田に水を入れて馬鍬(まが)を牛や馬にひかせて土をやわらかくします。この後、肥後鍬(ひごぐわ)を使って田んぼの土をあぜに塗りつけて固めました。
田植(たうえ)
田植えは6月中ごろから7月中ごろまでぐらいの梅雨の時期に行います。田植定規(たうえじょうぎ)を田の隅に当てて、その目印から田植綱(たうえづな)をのばして、苗を5本か6本ずつ、後ろに下がりながら、手でまっすぐに植えていきます。綱には赤い目印がつけてありますので、きれいに並べて植えることができます。
田に入れる水は、用水路から水車で引き入れました。また、水揚タゴで汲み入れたりもしました。
手入れと稲刈り
田の草取りは、3、4回くらい手ガンヅメや押ガンヅメで行いました。稲の穂が出た後は、田に入らないほうがよいとされていたので、草取りは稲の穂が出る前に終わらせました。
害虫退治には、油差しが使われました。中に油を入れて少しずつ田に落としていく道具です。油をまいて、笹などで稲の穂についた虫を水面に払い落とします。
稲刈りは10月末に行いました。今は9月末に行います。稲を刈る道具は草刈鎌を使いますが、後には鋸鎌(のこがま)が使われました。刈り取った稲は、イナジで結んで、田に広げて2、3日干しました。
脱穀(だっこく)
脱穀には千歯こきを使っていましたが、大正時代になると足踏回転脱穀機が発明されました。
脱穀した籾は篩(ふるい)にかけ、箕(み)や唐箕(とうみ)を使って籾とチリに分け、籾を猫伏(ねこぶく)の上に広げて籾アセリでかきまぜて乾燥させます。
干すのは晴れた日の昼間だけで、雨や曇りの日は干しません。干した後の籾は、かますに入れてとっておきました。
籾摺り(もみすり)
籾摺りには唐臼(とうす)と呼ばれる木の臼を使いました。とても力のいる仕事なので、5、6人くらいの人数が必要でした。籾摺り機が出来た後、唐臼はだんだん使われなくなりました。
玄米は米俵に入れて保存しました。米俵は俵編み器で編んだものです。米を量るときは、枡(ます)を使いました。
展示期間
平成12年2月1日(火曜日)〜平成12年4月9日(日曜日)
カテゴリ内 他の記事
- 2018年3月8日 商人とくらし -高瀬猿渡家の道具-
- 2018年3月1日 手しごとあれこれ
- 2018年2月28日 菊池川流域にひびいた音
- 2018年2月28日 祝う -人生の節目とよろこび-
- 2018年2月19日 これ、な〜に展2 -おうちで見つけた半レト...
- 2018年2月19日 駄菓子屋とあそびの世界
- 2018年2月19日 暮らしの中の文様展