令和7年9月議会 招集あいさつ
令和7年9月1日(月曜日)
おはようございます。
令和7年第5回玉名市議会定例会の開催にあたりまして、議員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
また、今期定例会の議会運営におきましては、8月豪雨災害復旧業務への配慮を賜り、重ねて御礼申し上げます。その8月10日深夜から11日朝にかけて本市を襲った記録的大雨についてでございますが、この場をお借りいたしまして、本市における概要を述べさて頂きたく存じます。
まずもって、市民をはじめとする被災された多くの皆さまに対し、心よりお見舞い申し上げます。あわせまして、現在、生活や事業の再建に向けて復旧作業に尽力されていらっしゃることに深く敬意を表します。連日の猛暑の中での作業は、暑さとの闘いでもあり、水害後の粉塵や感染症への防疫対策など、苛烈な環境における身体的・精神的負担は計り知れません。懸命に前を向き、復旧作業に取り組んでおられる被災者の皆様をはじめ、事業者、関係機関、そして市内外から駆けつけてご協力いただいている多くのボランティアの皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。今回の記録的大雨は、経験則では測れない緊迫した危機をもたらしました。雨の降り方や雨雲レーダーの動きは従来の大雨とは全く異なり、未曾有の事態を予感させました。地震のように瞬間的に襲ってくるのではなく、次第に迫りくる命の危険を肌で感じ、焦燥感はより強いものとなりました。数字で見ますと、この時の24時間降水量が観測史上最大の453.5mmを記録しており、これは8月の平均降水量の2.5倍に相当いたします。この豪雨により、本市はかつてない規模の浸水被害に見舞われました。改めて線状降水帯の脅威、自然の猛威を目の当たりにし、災害が私たちの想定や能力をはるかに超える規模で発生しうることを痛感いたしました。
10日から11日にかけての状況・動向を時系列で改めてご説明いたします。10日日中、線状降水帯発生予測を受け、午後6時には自主避難所5カ所を開設いたしました。夜に入り降り始めた雨は、短時間で急激に勢いを増し、様相を一変させました。午後9時25分、大雨警報発令に伴い、市内全域に避難情報レベル3「高齢者等避難」を発令。午後9時40分には、繁根木川・境川で氾濫危険水位を超過しました。午後10時には記録的短時間大雨情報が発表され、同10時5分には避難情報レベル4「避難指示」を発令しました。異常な雨の降り方により、午後10時〜11時台には市内各所で被害発生の報告が多数寄せられました。市民の生命が重大な脅威にさらされているという、これまでにない危機的状況を鑑み、11日午前0時、本市は、大雨特別警報の発令を待たずに避難情報レベル5「緊急安全確保」を発令しました。その後の午前0時20分に大雨特別警報が発表されました。雨の降り始めからわずか3時間ほどで気象状況が劇的に悪化し、この10日夜から11日未明にかけての3時間降水量は、観測史上最高の284mmを記録しました。今回の豪雨の60%以上がこの時間帯に集中して降ったことになります。
こうした大規模災害発生の予測を受け、午前1時30分に全職員(506名)に対し午前5時参集のメールを発出しました。417名もの職員が登庁し、班を編成して、夜明けとともに市内の被害状況確認のための巡回や被災現場の応急対応を開始しました。これにより、本市は避難フェーズから復旧・災害支援フェーズへと速やかに移行したところでございます。また時間が経つにつれ、被害の実態が次々と明らかになってきております。冠水・浸水被害、土砂崩れ等々、その被害の大きさを痛感しておりますけれども、先週までの被害状況の主な数値を申し上げますと、全壊1件、床上浸水180件、床下浸水243件、長期避難者数は4名となっております。その他、詳しい被害の数値については、本日の全員協議会におきまして現状報告をさせて頂く予定に致しております。また、市内各所で同時多発的に内水氾濫および外水氾濫が発生し、甚大な浸水被害が発生しました。特に、境川沿線、松木アンダーパス周辺、天水町受免地区では被害が極めて深刻でありました。
商工業においては、浸水被害により多くの店舗、事業所が未だ休業を余儀なくされており、被害は市内に広く及んでいますが、特に境川右岸の旧国道208号線沿いの地域に甚大な被害が発生しております。
農林水産業においては、市全域で農地の冠水が発生し、作物や農業用機械・設備に被害が出ており、現在、被害の全容把握に努めているところであります。さらに、水産業においても、ポンプ等の機械設備や河川からの漂流物による漁場施設の被害が確認されています。
このように、今回の豪雨の被害は甚大かつ深刻であり、復旧には長期化が予想されます。ただ、先ほども申し上げましたとおり、本市としては11日の夜明けから復旧・災害支援のフェーズへと速やかに移行し、スピード感をもった対応に努めております。また、マンパワーが不足する災害関連業務には、全庁を挙げて事務支援を行うなど、一日も早い復旧に向けた対応に当たっているところでございます。こちらも時系列で追いながら、報告させていただきます。
11日未明、記録的な大雨で浸水や土砂崩れなど大きな被害が出ていることを受け、災害救助法が適用されました。11日の午後、今回、市全域で浸水被害が発生し、多くの家財が災害ごみとして廃棄されることが見込まれたため、災害廃棄物等、災害ごみ仮置き場をまず岱明B&G駐車場に開設し、13日からの受入体制をすぐに整備いたしました。また、発災翌日の12日には「り災証明書」「被災証明書」の申請窓口を本庁1階ロビーに開設し、同日から受付・相談対応を開始。また、特に浸水被害のひどかった地域については、優先的にプッシュ型、いわゆる現地まで出向いて、り災証明申請の受付や建物の被害調査の対応を行なってまいりました。13日には、豪雨災害への支援活動のため、社会福祉協議会において「災害ボランティアセンター」を開設いたしました。16日から派遣を開始し、被災した家財の運び出しや、浸水家屋の泥の掻き出し、清掃など、復旧作業に当たっていただいております。また、15日には災害ごみ仮置き場として天水グラウンドを追加開設し、16日から受入開始。18日には、迅速かつ専属的な災害支援業務を実現するため、総合福祉課内に4名の職員を人事異動で配置し「令和7年豪雨災害支援室」を設置いたしました。併せて、13日からは災害対策本部会議を引き継ぐ形で、災害復旧連携会議を毎日開催いたしております。この会議は、私をはじめ、市執行部と県職員が参加し、被災者の皆様に一日も早く日常を取り戻していただくために、被災状況や支援状況に関する情報共有、そして復旧に向けた課題の整理を行っています。
次に、国や県からの視察状況をご報告いたします。8月20日、内閣府の坂井防災担当大臣が大倉地区の地盤崩落現場を視察頂き、また、8月30日には中野国土交通大臣が境川沿線地域の被災現場を視察頂いております。両大臣は被災状況を視察し、被災地支援への強い意向を示されたところです。また、木村知事は8月12日と20日の2回、本市を訪問頂いております。12日は、地元選出の県議会議員および国会議員とともに市役所にて現状確認と今後の対策に関する意見交換を行い、20日には、浸水被害が甚大であった境川沿線地域と松木地区を視察され、被災状況を報告し、早期の災害復旧支援および河川改修を含む今後の対策について意見交換を行うとともに、県からの継続的な協力を得ながら、復旧・復興に取り組んでいくことを確認いたしました。
また、先週の26日には、県知事、副知事、本市も含めた災害救助法適用市町村長による、「大雨災害に係る国への緊急要望」に関するオンライン会議に参加し、県内における復旧・復興に向けた課題などを意見交換し、要望内容をとりまとめて頂いて、28日の石破総理大臣への緊急要望につなげたところであります。復旧支援の在り方については、スピード感ある対応が必要であると考えています。国や県とも連携を密にしながらも、被災者のニーズに合わせた市独自の支援の整備を急ぎたい、そういうふうに考えている次第です。
改めて、今回、被害を受けられた皆様がどうか一日も早く元の暮らしを取り戻され、笑顔あふれる日常生活を再び送れますよう、市としましても全庁を挙げて、そして職員一丸となって全力でスピード感をもった復旧・復興、災害支援に尽力してまいります。
最後になりますが、今議会では、ただいま申し上げました、このたびの8月の豪雨被害に対する必要経費の専決処分の承認について。そして令和6年度の一般会計をはじめとした各決算関連について。また、令和7年度の補正予算につきましては、物価高騰対策としての、LPガス使用世帯に一律2千円を県LPガス協会を介して支給する「LPガス使用世帯支援事業」3,302万4千円。そのほか、地域農業経営安定推進事業で、2,250万円。消防費の水防センター建設事業で、債務負担行為補正もあわせまして、1億4,619万7千円。教育費においては、小中学校空調設備整備事業で、2,309万3千円の追加などを計上いたしているところでございます。
議案の内容につきましては、このあと提案理由の説明の中で、それぞれ申し上げさせていただきますので、充分にご審議をいただき、いずれも原案どおり、ご承認を賜りますようお願い申し上げまして、開会にあたりましてのご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いたします。
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