企画展 願行寺仏像修復完成記念 「高瀬五ヶ寺の仏さま」
平成17年、高瀬の時宗寺院願行寺の仏像「木造僧形倚像(椅子に座った姿)」が修復されました。この仏像は、鎌倉時代末期ごろ、都の仏師によって作られた時宗高僧の像です。仏像は、明治以後寺の庫裏で保管され、状態が大変悪かったのですが、今回修復されよみがえりました。今回の企画展では、僧形倚像の修復を機に、その像と廃寺となって離散したほかの4寺の仏像を一同に公開し、五か寺の歴史をひもといていきます。
蒼園山願行寺
貞和5年(正平4・1349)遊行五世他阿安国上人によって開かれたと伝えられます。二代は菊池武時(寂阿)六男武村(徳山上人)で、菊池・大友氏の代々祈祷所となりました。肥後における時宗二か寺の一か寺で、玉名郡内に千石余の寺領を有したといいます。天正15年(1587)九州征伐に際して高瀬入った太閤秀吉は、願行寺を陣宿としました。同寺には、秀吉から拝領したと伝えられる陣太鼓が残っています。願行寺は、高瀬五か寺のうち、唯一現存する寺院です。
繁根木山寿福寺
天長元年(824)淳名天皇の勅願により加善大徳によって開かれたと伝えられています。天台宗延暦寺末寺であり、院内に六坊(浄光坊、広乗坊、正福坊、松月坊、学乗坊、泉林坊、七坊ともいう)がありました。寿福寺は五か寺最初のお寺とされます。天正期の戦乱以降荒廃が続いた寿福寺は、豪潮(1749〜1835)によって再興されます。しかし、豪潮以降の住職ははっきりしておらず、明治の廃仏毀釈によって廃寺となりました。
不二山平等院宝成就寺
延喜4年(904)嵯峨天皇の勅願により、京都醍醐寺の聖宝が開いたと伝えられます。九州真言の根元とも称されます。菊池・大友・高瀬氏などからの厚い保護を受けますが、天承16年加藤清正により寺領を没収され断絶にいたります。つづく寛永10年細川氏より寺地4反5畝を寄進されました。江戸時代中期には玉名郡以外の山本・菊池郡、さらには肥前にまで及ぶ末寺を持っていましたが、のち荒廃し、大浜大福寺、竹崎金剛寺、高瀬町地蔵院を支配するにとどまり、明治に廃寺となります。
高瀬山清源寺
清源寺は、初め玉名郡清源寺村(現長洲町)にあって、のち高瀬町に移転したといわれ、大野国隆の法名「清源」を寺号とします。正平2年(1347)菊池武尚によって開かれたとあります。開山は固山一鞏(1284〜1360)です。菊池、高瀬、大友、小代氏などの厚い保護を受け、寺地、寺領が寄進されました。天正15年太閤秀吉の九州征伐の折、徳川家康が陣宿したとあり、加藤清正のときに一時寺領が断絶されますが、のち細川入国後寄付を受け度重なる大破に勧進た芝居興行が認められました。
大倉山永徳寺
延文2年(1357)菊池武光は、開祖石屏子介の碩徳を村上天皇に達し勅願寺となし、七堂伽藍を建立し永徳寺としました。加藤清正の時代まで永徳寺村(現玉名市永徳寺)に所在。加藤清正によって熊本に移転され、朝鮮の陣滞留の間に伽藍は破滅しました。元文5年(1740)5月6日の失火により方丈・庫裏など寺内残らず焼失し、伝来の重宝の大半を焼失しました。本尊の十一面観音像は、現在も「飯喰観音さん」と呼ばれ親しまれています。毎年8月18日と11月18日には、観音堂で観音まつりが催され、「カーン、カーン」と鐘の音が響きわたります。
展示期間
平成17年10月30日(日曜日)〜平成17年12月18日(日曜日)
体験学習
- 秋の植物観察会 10月30日(日)
- 第2回玉名荒尾の戦争遺跡を歩こう 〜荒尾二造を訪ねる〜 11月5日(土)
- ふすまの中の古文書 11月13日(日)
- たたら製鉄 11月20日(日)・27日(日)
- 第22回 歴史の道・菊池川川岸を歩こう 〜櫨並木〜 11月23日(水)
- 既設の折り紙・サンタ 12月4日(日)
催しもの
- ちょっと昔の生活展 10月16日(日)〜12月3日(土)
- 草枕 10月25日(火)〜11月20日(日)
- 博物館書道展 小学3・4年生 10月26日(水)〜11月23日(水) 小学5・6年生 11月26日(土)〜12月16日(日)
- 横島干拓 11月27日(日)〜12月18日(日)
チラシ
玉名市立歴史博物館
〒8650016 熊本県玉名市岩崎117
電話番号:0968-74-3989
ファックス番号:0968-74-3986
ホームページ:https://www.city.tamana.lg.jp
開催時間
午前9時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日
毎週月曜日および祝日の翌日
観覧料
一般300円(※210円)大学生200円(※140円) 高校生以下は無料 ※括弧内は20名以上からの団体割引
図録
平成17年10月30日発行 A4版カラー8ページ 販売価格200円
購入方法については刊行物のご案内をご覧ください。
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