たたら製鉄
たたら製鉄
明治時代に西洋から近代製鉄技術が入ってくるまで日本で行われた製鉄方法です。粘土で作った炉に、山や海や河原で取れた砂鉄を木炭と一緒に入れて、高い温度で熱します。すると、砂鉄は溶けて、砂鉄の中にあった不純物と鉄とに分かれます。こうして、砂鉄の中から鉄だけを取り出し、刀、鉄瓶や鉄鍋などの生活用品、鍬や鋤などの農具に加工されました。炉の中を高温にするため、たくさんの風を送り込むのですが、その際に風を送り込む道具を「たたら」といい、たたらを使った製鉄方法を「たたら製鉄」と呼ぶようになりました。
たたら製鉄と玉名
小岱山の山麓には、たくさんの平安時代から鎌倉時代にかけての製鉄跡があります。これらは近年の調査の結果、小岱山製鉄遺跡群と呼ばれ、三ノ岳製鉄遺跡群(熊本市、玉東町など)、大岳製鉄遺跡群(宇土市、宇城市)とともに肥後三大製鉄群と言われます。たたら製鉄を行うにはいくつかの条件が必要です。例えば、良質の砂鉄が採れる、たくさんの木材がとれる、小川がある(土の中から砂鉄を採るのに、水に土を流して採取を行った。鉄穴(かんな)流し)、風がよく吹く、風向きがよい(たたらだけでなく、天然の風もたたら製鉄には必要であった) といった条件が整った場所で、たたら製鉄は盛んに行われていました。玉名市においても、県指定史跡の「六反製鉄跡」(玉名市三ツ川)などの製鉄跡があり、小岱山麓で発達した製鉄技術は、後に刀鍛冶の「同田貫」にも受け継がれていきます。
たたら製鉄の復元
歴史博物館では、玉名に関係の深いたたら製鉄を復活させる事業を、平成16年から毎年11月に行っています。刀匠の松永源六郎氏の指導のもと、菊池川の河原より採取した砂鉄も使って鉄を精製します。実際に炉の中に炭や砂鉄を入れることもできます。体験を通じて、先人たちが残した高度な技術に触れる貴重な機会です。ぜひご参加ください。