外嶋住吉神社と年紀祭
大浜外嶋住吉神社は、延久元年(1069年)に建てられました。年紀祭米引き行事、御神幸行事は、玉名市指定重要無形民俗文化財に指定されています。
外嶋宮には3隻の廻船模型があります。玉名市指定重要有形民俗文化財の模型は明治4年(1872年)製作で御神体としてまつられ、年紀祭の御神幸式に使用されます。
千石積みの十分の一の模型で、全長2メートル98センチメートル、幅84センチメートル。上半部は杉材柾目、下半部は楠材。帆柱、櫓、方向舵、水樽、手桶それに長さ1メートル伝馬船も備えています。
大浜町は、大坂への肥後米の積み出し港で、17反帆五百石積みの大船を保有し繁栄しました。
大坂屋、長崎屋などの大きな廻船問屋や船頭の家が立ち並び、今もその名残りの町並みが残っています。
この絵馬は20隻の廻船と、町並み・雲仙岳などを描いた横2.43m、縦1mの大作で、文政13年(1831年)大坂の問屋から奉納されたものです。狛犬は天保15年(1845年)大坂や下関方面の問屋からの協力を得て奉納したものでともに市登録有形文化財です。
祭は本来一定の祭祀集団により行なわれます。それが宮座です。大浜の座は本座・新座とも、立派な厨子と神軸3本ずつを有しています。当初本座は25軒、新座は33軒でしたが、今は各10余軒余です。
祭の主な行事に、1日目の砂引きと翌日から2日間各町内の奉納米を寄進する米引き行事があります。
米を大八車に積み、部落総出で米挽音頭に合わせて梵天を振り、神社まで運びます。大八車の向きを変える樫のこね棒の扱いは大変です。
最終日の御神幸行事、海上渡御があります。行列の配列は厳しく決まっていて、各町内の役割も昔から変わりません。御神輿は三の宮まであり、そのあと、賽銭箱、神職と続き、座組のものが2列にて供奉します。
御神幸行列のうち、他の祭りに見られないのが、御座船と櫂伝馬船の行列です。ハッピ、鉢巻など各部落で色が異なり、櫂、剣櫂などを肩にして行列にしたがいます。
大浜町汐見の松原に、おみこし座の石積みがあります。御神幸行列は、この御旅所で祭式があったのち解かれ、いよいよ海上渡御となります。ここでの祭式は、外嶋宮の御発輿の儀式に勝るものです。
祭りのハイライト海上渡御です。上げ潮にのって大漁旗などで飾られた御神輿を乗せた本船を櫂伝馬船が曳航し、掛け声勇ましく漕ぎのぼります。船は川面をいろどり、両岸を埋めた観衆は20年振りの海の絵巻に酔いしれます。
櫂伝馬は、櫂で漕ぐ伝馬船のことで、本船を引いて漕ぎのぼるこの船の乗員は、祭りの花形です。舳先に采振り一人、艫に剣櫂踊り一人が酒樽の上で、上手に波に乗りながら独特の踊りを”ほうらんえんや”とはやしながら踊ります。
御神霊が神社に御還御なされた深夜、祭主・神官・祭り役員などで、ロウソクのあかりのもと、ひっそりと厳かに御霊還しの儀が行なわれます。これですべての祭事がとどこおりなく終わったことになるのです。
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