企画展 「小代焼瀬上窯発掘展」
平成元年から南関町によって瀬上窯の発掘調査ならびに整備事業が行われました。遺構は附属施設まで完備しており、江戸時代末期の窯元の全貌を偲ぶことが出来ます。瀬上窯出土品ならびに、瀬上家所蔵の優品を展示し、瀬上窯の全貌を紹介しました。
瀬上窯の歴史
瀬上窯は天保7年(1836)、当時生産が減少していた小代焼を増産させ、他国産の陶磁器の流入に対抗しようという藩の方針に沿って、宮尾在住の山奉行瀬上林右衛門がみずから窯元となり築窯された殖産窯です。以来大正年間まで焼き続けられました。
焼成工程
- 唐臼(カッタリコ)で原土を粉砕する。
- 水簸槽で良質の粘土を作りとりだす。
- むしろを敷いた四角な槽(オロ)に粘土をいれ水分を抜く。
- 素焼きの鉢などを小分けしてさらに水分を抜く。
- 土倉で荒練りし「ネカセ」る。
- 作業工程でロクロなどを使って成形する。
- 成形したものを天日に干したり、棚板にのせて乾燥させる。
- 最上部の焼成室の窯に入れ素焼きにする。
- 釉薬をかける。
- 窯にいれ焼成する。
- 完成
均一に目が粗く、きめの細かいサンドペーパーのような肌触りです。幕末の大量生産のころから粘土が不足し荒尾市のほうから赤色粘土を運んだといわれています。
焼き上がったときの露胎部の色調は赤黒いものが多く、中にはいろいろな条件の違いで灰褐色、黄褐色、赤橙色などに変化しているものもあります。
基本的には藁灰、笹灰、木炭、酸化鉄、長石を主原料に組合わせ、調合したものを地掛釉上掛釉として二重掛けし、窯内の状況が酸化焔か還元焔かによって様々に発色します。色調は主に、黄白色系(黄小代)、青白色系(青小代)、乳白色系(白小代)などがあります。
小代焼きの特徴の一つは高台の裏に「の」の字を刻んでいます。また作者の銘や「五徳」と銘が入っているものもあります。
「五徳」とは、毒を消す・茶をよく保つ・酒をよく保つ・なまくさ気うつらず・しみ垢があるとき火にいれて焚くと割れることなく新物の様に綺麗になるという意味です。
展示期間
平成7年2月15日(水曜日)〜平成7年4月30日(日曜日)
図録
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