菊池川流域日本遺産の紹介 第3回 菊池川流域の前方後円墳と装飾古墳
米作り、二千年にわたる大地の記憶 〜菊池川流域「今昔『水稲』物語」〜
菊池川流域(玉名市・菊池市・山鹿市・和水町)は、2,000年前から現代に至るまでの米作りに関する有形文化財、祭りや食文化、文化的景観が残されている稀有な場所であるとして、平成29年4月に日本遺産の認定を受けました。
日本遺産とは、文化庁が平成27年度から開始した事業です。文化財保護法等による文化財保護制度とは異なり、指定文化財・未指定文化財の枠を超えた「我が国の文化伝統を語るストーリー」として観光などに活用し、地域活性化につなげていくことが目的です。
第3回 菊池川流域の前方後円墳と装飾古墳
古墳時代になると、各地の有力者が古墳を築造しました。菊池川流域でも、米作りなどで富を蓄えた集落の長により前方後円墳が造られ、装飾古墳など独特の文化が花開きました。
菊池川流域の前方後円墳で、最も有名なのは江田船山古墳(外部リンク)(和水町)でしょう。和水町の清原台地上に清原古墳群があり、この地域一帯の首長墓が並んでいます。その中で最も大きい古墳が、5世紀後半に築造されたと考えられる江田船山古墳です。墳長は約62メートルと中規模ですが、出土した副葬品(外部リンク)は冠帽や金の耳飾りなど極めて豪華で、92点が国宝に指定されています。中でも75文字が銀で象嵌された鉄刀は大変貴重な歴史資料で、当時この地域がヤマト政権と深い関係をもっていたことを示しています。古墳自体も隣接する塚坊主古墳と虚空蔵塚古墳と共に「江田船山古墳 附 塚坊主古墳・虚空蔵塚古墳(外部リンク)」として国史跡に指定されています。
また、熊本県内最大級の規模を誇るのが岩原双子塚古墳(外部リンク)(山鹿市)です。岩原古墳群は岩原台地上にあり、5世紀代の築造と考えられています。岩原双子塚古墳は、その古墳群の中で唯一の前方後円墳です。墳長は約107メートルもあり、とてもきれいな形です。一帯は公園として整備され、熊本県立装飾古墳館が隣接しています。岩原双子塚古墳を含む岩原古墳群(外部リンク)は国史跡に指定されています。
6世紀に入ると、清原古墳群の塚坊主古墳を皮切りに、菊池川流域でも装飾古墳が造られるようになります。装飾古墳とは、古墳内部の石室や石棺、横穴墓の壁面などに文様や絵画が描かれたり、彫刻された古墳のことです。装飾には当時の人々の死生観が表れており、死者への祈りや邪悪なものの排除などの想いが込められていると考えられています。装飾古墳は全国に723基(令和元年度調べ)が見つかっています。そのうち熊本県内には205基(令和元年度調べ)があり、全国の約30%を占めています。その中でも菊池川流域には117基があり、装飾古墳が全国一集中している地域です。玉名市内には、大原箱式石棺群の9号石棺(岱明町大原で出土、岱明防災センターへ移築保存)、経塚古墳(天水町部田見)、大坊古墳(玉名市玉名)、永安寺東古墳・永安寺西古墳(玉名市玉名)、石貫穴観音横穴(玉名市石貫)、石貫ナギノ横穴群(玉名市石貫)などがあります。玉名市外では、塚坊主古墳(外部リンク)(和水町)、チブサン古墳(外部リンク)や鍋田横穴群(外部リンク)(山鹿市)、袈裟尾高塚古墳(外部リンク)(菊池市)などがあり、これら装飾古墳は菊池川流域の古墳文化を大きく特徴づけるものです。
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